仮想通貨で決済したときの税金はどうなる?

外国人が日本で仮想通貨決済した場合

外国人観光客が仮想通貨決済をした場合、外国人観光客の日本での納税は発生しないと考えられます。

受け取った側(店)は、モノやサービスの対価(円換算額)として売上計上します。また、受け取った時点の円換算額から日本円に換金した金額との差額が生じる場合には、損益を計算します。

一般的に外国人観光客は、非居住者に該当します。非居住者は、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)に限って課税されます。

居住1 居住3

所得税法では、外国人という区別は使いません。所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。

居住者とは、日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人です(居住者の中でも非永住者とそれ以外に分かれます。詳細は国税庁HP等でご確認ください。

参照:国税庁HP

居住者以外の個人を非居住者といいます。なので、例え外国人であったとしても、居住者に該当するか非居住者に該当するかで判断する必要があります。

では、国内源泉所得の範囲はどうなるでしょうか?

非居住者(外国人観光客)が国内に滞在する間に行う国内にある資産の譲渡による所得は、国内源泉所得に該当します。ここで問題になるのが、外国人観光客が所有する仮想通貨は、「国内にある資産」となるのかどうかです。

インターネット上に存在する価値があるモノ、資産の所在地によって国内・国外を判定することは法整備がされていない現状、困難です。

また、国によって、国内源泉所得と国外源泉所得で異なった扱いがあり、両国で課税処理を調整(二重課税の防止等)する租税条約を締結している場合もあります。

なんらかの基準で判定する必要が生じますが、仮に国内源泉所得に該当することになったとしても捕捉することは不可能ですし、厳密にいえば法定通貨であっても外国人観光客にとっては、自国の通貨を日本円に交換して、為替差損益が生じているわけですが、外国人観光客が決済するくらいで、日本国内で課税されることはありません(自国で課税されているかどうかはその国の税制によります)。

ちなみに、非居住者等に対して国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、納付する義務があります。

ですが、仮想通貨を受け取る側は、非居住者(外国人観光客)から所得税を徴収する必要はありません。仮想通貨の決済が仮に国内源泉所得であったとしても、源泉徴収の対象になる国内源泉所得には該当しません。

この納税義務については、所得税法161条と所得税法施行令281条にて規定されています。

日本人が海外で仮想通貨決済した場合に関して

日本では、全世界所得課税制度が採用されています。つまり、日本人(居住者)は、国内源泉所得、国外源泉所得の両方とも課税対象になります。

居住2 居住3

日本人であっても非居住者であれば、国内源泉所得だけに課税されます。従って、海外で仮想通貨決済をした場合であっても、所得を計算して確定申告をする必要があります。

通常、海外旅行に行って買い物をする分には、法定通貨であれば、海外旅行期間中に価格が変動し、為替差益が20万円以上も発生する可能性は低いと考えられます。

そのため、給与所得以外の所得(為替差益)が20万円未満であれば、所得税の確定申告は不要であり、海外旅行に行った後、確定申告しなければとなったことはないと思いますし、税務署も注視していません。ただし、一般的な海外旅行で換金するレベルの話であり、多額の現金を外貨に換えたり、海外送金したりすることなどは注視しています。

しかし、仮想通貨となると1日でも変動幅が大きい上に、所得が発生する可能性が高く、海外旅行が終わったとしても仮想通貨の利用はおそらく継続することになるので所得が20万円以上になるケースがあると考えられます。

また、現金と比べると履歴が残っているので把握しやすく、現状、決済で利用した場合、含み益が実現し課税されることになります。

2国間の法定通貨同士であっても所得課税に関して仮想通貨と扱いが異なるわけではないのですが、仮想通貨は悪目立ちしてしまいます。

従って、仮想通貨に関しては、確定申告をする必要が生じてくる可能性が高いので、海外であったとしても、決済したことがわかるように領収書等を受領しておいた方が確定申告の時には役に立ちます。

日本の「居住者」でいる限り、基本的に仮想通貨は、国内・国外問わず何をするにしても「課税」されるという国が日本です。

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