キャッシュレス決済が急速に普及し、多くの企業や店舗、利用者のあいだで話題を呼んでいるのがQRコード決済です。これまではキャッシュレス決済といえばクレジットカードや電子マネーが主流となっていましたが、QRコード決済は物理的なカードを必要としません。
手持ちのスマホ一つでかんたんに決済を済ませられるうえに、ポイントの還元率も高いのが特徴です。
この記事では、人気を呼んでいるQRコード決済について、メリットやデメリットを解説します。
これから導入を考えている店舗の担当者様はぜひ参考にしてみてください。
QRコード決済とは?
日本政府は2019年の10月から消費税の増税を決定しましたが、増税に伴ってキャッシュレス決済を推進しています。中でもプッシュされているのがQRコード決済。
高いところでは3%を超える高いポイント還元率をアピールし、消費税が増税されたことによる消費者の負担を軽減するのが狙いです。
後発でありながら爆発的に登録者数を増やしたPayPayなどは、100億円キャンペーンと称してユーザーに利益を還元することでキャッシュレス決済に踏み切れないユーザーを後押ししています。
これまではキャッシュレス決済といえばクレジットカードや電子マネー、デビットカードが主流でしたが、現在はQRコード決済に注目が集まっている状態です。
QRコード決済の仕組み
QRコード決済の仕組みは意外にシンプルです。
QRコード決済サービスに加盟した加盟店と利用しているユーザーには固有のQRコードが付与され、与えられたQRコードをもとに決済を行います。
店舗に与えられるQRコードをユーザーが読み取る方法は「ユーザースキャン」と呼ばれるものです。ユーザーは店舗に備え付けられているQRコードをスマホで読み取り、決済を完了させます。
読み取りが完了すると、ユーザーがあらかじめ設定していた引き落とし先のクレジットカードや銀行口座からQRコード決済分が引き落とされるので、その場で現金を取り出す必要がありません。
クレジットカードのように暗証番号を入力したり、署名する手間も省けます。
反対に「ストアスキャン」と呼ばれる方法では、店舗に与えられた専用のバーコードリーダーでユーザーのスマホに表示されたQRコードを読み取り、決済を完了させます。
請求金額などの情報が瞬時にQRコード決済サービス会社に送られ、ユーザーには引き落とし情報が、店舗には後ほど支払われる金額の情報が登録されるのです。
いずれの方法であっても決済はすぐに済むので、レジ前での混雑解消やレジのトラブル防止につながります。
QRコード決済を導入するメリットは?
QRコード決済を導入することで数々のメリットが得られます。先ほど紹介した混雑解消やトラブル防止以外にもメリットがあるので、担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
販売促進につながる
QRコード決済を導入することで販売促進効果が見込めます。
日本はもともとキャッシュレス化に乗り遅れた国として有名で、海外に比べても現金決済が主流となっていました。
ATMサービスの充実などが原因となり、現代の日本は現金決済が主流でも困らない状況が作り上げられているのです。
その中でQRコード決済をいきなりリリースしても、ユーザーを獲得するのは難しいでしょう。ユーザーがいなければ、決済手数料を支払ってくれる加盟店も集まらないので、サービスそのものが存続しません。
そこで、QRコード決済サービスを提供している事業者は、ユーザーに利益を還元するキャンペーンを打ち出すことでユーザーを獲得しようと考えています。
「現金決済よりお得だ」と肌感覚で伝わるようなキャンペーンを打ち出せば、これまで現金決済に疑いを持っていなかった人々にもサービスが普及すると考えたのです。
その結果、QRコード決済は爆発的にユーザーを増やしています。
決済の手軽さだけでなく、ユーザーにとってメリットとなるキャンペーンが開催されているためです。
つまり加盟店にとっては、このキャンペーンを通して集客することも可能であるといえます。
実際にOrigami Payなどは、豊富なクーポンの配布やスマホへの通知を通して加盟店の集客を支援する施策を打ち出しているQRコード決済サービス事業者です。
加盟店はQRコード決済に対応するだけで集客に繋げられる大きなメリットがあります。
中国人向けでインバウンド効果も
中国はすでにキャッシュレス決済が主流となっている国のひとつで、百貨店やスーパーだけでなく、個人商店でもQRコード決済に対応しています。
中国で最も人気のあるQRコード決済サービスは「Alipay(アリペイ)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」でしょう。
Alipayは世界最大規模のECサイト「アリババ」を運営するアリババグループが提供しているQRコード決済で、WeChat Payは中国でいうLINEのような扱いを受けているチャットアプリ「WeChat」が提供しているQRコード決済サービスです。
どちらも中国からのインバウンド需要を狙うのであれば導入しない手はありません。
周囲の企業や店舗がまだ導入していない今こそ、差別化を図るチャンスです。
初期費用や決済手数料が格安
先ほど説明したとおり、各QRコード決済サービス事業者は加盟店やユーザーの獲得に向けて先行投資を行っている最中です。
ユーザーを増やし、加盟店を増やすことができれば、お互いに相乗効果を生みながらQRコード決済の経済圏を拡大できるため、加盟店にとってもお得なキャンペーンを多数打ち出しています。
その証拠に、後発ながらシェア2位を獲得しているPayPayは、導入にかかる初期費用や決済手数料を0円にして打ち出しているのです。
ある程度の収益が見込めるようになれば、このキャンペーンは打ち切られて初期費用がかかるようになるでしょう。
QRコード決済の黎明期である今のうちに加入しておけば、コストをかけずにメリットを受け取ることができるのです。
QRコード決済は不正のリスクなし?安心のセキュリティ
QRコード決済は他のキャッシュレス決済と異なり、暗証番号や署名が必要ありません。そのためユーザーや加盟店からは不安の声も上がっています。
データに不正アクセスされてしまったり、支払情報が読み取られたりする危険やリスクはないのでしょうか。
ここからは新技術であるQRコード決済の危険性やリスクについて解説します。
決済処理の完了はどうやって確認できるの?
決済が完了していなければ、加盟店にとっては無料で商品やサービスを提供しただけになってしまいます。QRコード決済では、支払いが完了したかどうか判断するのは簡単です。
まず、店舗側は決済した履歴を一覧で表示できるので、決済漏れがないかすぐに確認できるのです。
同時に、決済時にスキャンしたユーザーのスマホを確認すると、「決済完了」と表示されます。アプリによっては音がなりますので、その場で決済の完了を確認できるのです。
情報漏洩は大丈夫?
現金でなくデータの束になった決済情報は漏洩しないのでしょうか。
情報漏えいの点についても安心してください。
QRコード決済のデータは暗号化され、事業者へと送付されます。暗号化のレベルは非常に高く、国際的なクレジットカードの暗号化レベルと同等のセキュリティがかかった状態で送付されるので、読み取ったり、改ざんするのは困難でしょう。
店舗のQRコードをすり替えられる可能性は?
アジア諸国では店先にQRコードを印刷した紙をぶら下げておく方法を取っていましたが、これではセキュリティ的に不安が残ります。実際に、中国ではQRコードを印刷した紙がすり替えられる事件が発生しました。
QRコード決済を導入する場合、こうしたリスクを避けるための対策が必要です。
その方法として、店舗に渡される専用の端末にQRコードが表示されるようにすれば、すり替えのリスクはなくなるでしょう。
また、ユーザースキャン(ユーザーがお店のQRコードを読み取るタイプ)ではなく、ストアスキャン(お店がユーザーのQRコードを読み取るタイプ)にすれば、すり替えの危険性はなくなります。
QRコード決済を導入するデメリットは?
QRコード決済を導入するメリットはたくさんありますが、デメリットはないのでしょうか。導入に手間がかかって面倒だったり、セキュリティ面での危険性はどうなのでしょう。
ここからはQRコードのデメリットについて解説します。
まだ認知度が低い
日本ではキャッシュレスやスマホ決済が普及し始めたと行っても、海外に比べるとまだQRコードの認知度が低く、対応している店舗も限られています。
加盟店としてQRコード決済を導入しても、そもそも認知されていなければ十分にメリットを受け取ることができません。
まずはQRコード決済に対応していることをしっかりとアピールし、集客につなげる意識をもつことが大切です。認知されればQRコード決済を利用しているユーザーからは好印象を持たれやすくなるので、集客にもつながるでしょう。
QRコード決済のメリット・デメリットを理解してから導入しよう
QRコード決済は今が黎明期のサービスです。
これからさらなるユーザー獲得に向けて各事業者は動き出すことが予想されます。
それに付随して加盟店も増加するので、QRコード決済の経済圏は拡大していくでしょう。
拡大する前に、今のうちから参入しておくことをおすすめします。
理由としては
- ライバルが少ないので差別化が容易
- 導入にかかるコストが少なく済む
この2点が挙げられます。
セキュリティも万全のQRコード決済サービスに加盟して、差別化しながら集客力をアップさせましょう。導入を検討している方はぜひこの記事を参考に、各サービス事業者を比較してみてください。
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です