米国最大の取引所コインベース(Coinbase)は、調査会社のQriouslyと共同で世界の大学での暗号通貨・ブロックチェーンの関心の高まりについてレポートを発表しました。調査は、各国の大学生に直接、質問をする形式で実行されました。調査結果によると、各国の大学での暗号通貨・ブロックチェーンの関心は非常に高まっていることを結論づけています。
実施された調査は、735人の16歳以上のアメリカの大学生にアンケートをとり、アメリカ国外の50の大学のクラスなどを分析するという方法で行われました。調査の主要な結果は以下の通りです。
ブロックチェーンのクラスと学生が増加
ブロックチェーンのクラスが増加
世界のトップ50の大学のうち、56%の大学が少なくとも一つ以上のブロックチェーンのクラスを開講しています。これは2018年の42%の数字から大きく上昇しています。
クラスを受講する生徒も増加
ブロックチェーン・暗号通貨のクラスを受講したと回答した生徒の数は、2018年の調査よりも大きく増えています。世界のトップ50の大学のうち、41の大学では学生主導のブロックチェーンクラブなどが存在しています。また、米国大学生の34%は、ブロックチェーンについてもっと学習したいという回答結果を残しました。
ブロックチェーンに力を入れる大学
ブロックチェーンのクラスを用意している学科
ブロックチェーン・暗号通貨のクラスの70%近くがコンピュータサイエンス以外の分野で構成されている。ファイナンス・法律・人文科学・経済などの分野でもブロックチェーンのクラスが増えています。ブロックチェーンの学習はエンジニアだけが学ぶものではないということです。
最も暗号通貨・ブロックチェーンのクラスを増やしている大学は?
Coinbaseの独自の指標では、暗号通貨・ブロックチェーンに最も精力的な大学は上から順番にコーネル大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ニューヨーク大学とランク付けしています。
コーネル大学には暗号技術の教授のエミン・ギュン・サイレール(Emin Gün Sirer)氏が在籍していて、Ava Labsなど大学発のプロジェクトが生まれていることでも知られています。MITでもこの大学発のプロジェクトは数多く存在し、VoultやAlagolandなどが発表されています。
日本の大学におけるブロックチェーン教育と比べて
Coinbaseのレポートでは、世界の主要なトップ大学ではブロックチェーン関連のコースが増えており、生徒の間でも関心が増加していることが明らかになっています。
同調査では網羅されていないですが、日本国内の大学でも東京大学で寄付講座が行われていたり、その他の大学でも小規模なクラスが開講されています。一方で、日本の大学では暗号通貨・ブロックチェーンを専門に扱う研究室や教授がいないことは指摘できます。
機械学習/人工知能の分野で東京大学発のベンチャー企業が複数生まれていた背景は松尾研究室が存在していたことが大きく、同じようなサイクルがブロックチェーン領域ではまだ起こっていません。
海外のいくつかのトップ大学では大学の研究室発のプロジェクトも多く生まれている他、スタンフォード大学や北京大学からは学生コミュニティから生まれたスタートアップが多く存在しています。これらの状況は海外との差であり、アカデミックと若い学生や開発者の草の根の活動の両面で底上げが期待されます。
参考
・The 2019 Leaders in Crypto Education
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