資産目標残高2000万円以上の割合、1970年以降最高に

金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)が「家計の金融行動に関する世論調査」を発表。金融資産の目標残高を2000万円以上3000万円未満に設定する2人以上の世帯割合が、1970年以降最高の14.9%に拡大していることがわかった。(前年10.1%)

6月に公表された金融審議会ワーキンググループの報告書の公的年金以外に2000万円の貯蓄が必要だとする報告を受け、国民が将来の貯蓄へ意識を高めた可能性もある。

世論調査では、「老後背の生活への心配があるか」とする調査で、『心配がある』と回答した世帯が81.2%と前回比で上昇。うち73.3%が「年金や保険が十分ではないから」との回答を選んだ(前回72.3%)。

今回の調査対象にあがる金融資産には、預貯金や保険、有価証券、その他の金融商品が含まれるが、金融資産の構成比率では有価証券が4年連続で増加、19.6%を記録した。

「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融資産の保有するか」の調査でも、そのような商品を保有しようと思わないが78.9%と最も高かったが、一部の保有を検討するとの回答が、2010年以降最高値を記録。リスクを伴う資産への関心が拡大している状況を示した。

出典:家計の金融行動に関する世論調査

今後保有を希望する金融資産では、有価証券が15.4%と前回比で減少(前回15.8%)。うち株式が8.9%(前回9.3%)、株式投資信託5.3%(前回6.1%)と多少減少しているものの、将来的な貯蓄を考え、資産の振替を予定する見方が強まっている傾向をデータが示した。

なお、金融資産の選択に関する質問では、収益性を選択する回答が19.0%(前回17.6%)と上昇した一方で、安全性を重視する回答が41.9%(前回41.8%)と最も高い結果が示された。

仮想通貨については、これらリスクを伴う資産に該当する資産であることから、国民の関心がこれらの金融資産に移っている状況は、プラスに作用すると捉えることもできるが、将来的な貯蓄への心配から、堅実な見方をする国民は依然多い状況から、ボラティリティが高く、信頼性に不安視を覚える層には受け入れ難い状況を示すデータとして捉えることができる。

2022年度から実施される新指導要領では、家庭科の授業で「資産形成」の視点に触れるよう新たに規定したことも明らかになっている日本。

現金・預金の構成比が家計の金融資産の約半数を占めている日本では、政府が長い間「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げてきたが、「年金2000万円問題」が意図しないきっかけとなり、国民に将来へ向けた投資を意識付けた形になった。

関連:「家計の金融行動に関する世論調査」

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