WeChat10億人のユーザーが潜在顧客

WeChat上でダイアモンドを販売するプラットフォームで、透明性と信頼性を提供する目的でブロックチェーン技術を活用する。

世界最大規模のダイヤモンド採掘企業であるロシアのAlrosa、中国のTencent、そしてテクノロジー企業のEverledgerの三社が共同声明を発表、ブロックチェーンを利用したダイヤモンドの小売プログラムを開始することが分かった。

Tencentは中国のソーシャルメディア「WeChat」を運営する企業であり、今回のプログラムはWeChatの10億人近いアクティブユーザーを潜在的な顧客層としている。

ブロックチェーンテクノロジーの力によって、消費者はダイヤモンドの産地、特徴、真正性や、所有履歴を十分に理解・把握した上で購入できるようになる予定だ。

ダイヤモンドサプライチェーン全体の透明性と消費者の信頼を向上させることを目的としている。

中国市場で差別化

スマートフォンでWeChat Miniプログラムを実行すると、消費者は個々のダイヤモンドに固有の証明書情報の確認ができる。WeChat Payを使用してダイヤモンドを購入する上で、信頼性のある情報との照合が取れる環境が提供される格好だ。

また、Everledgerブロックチェーンプラットフォームを通じて所有権の証明を行うことも可能で、紛失時も含め所有者の照合を可能とするようだ。

ブロックチェーン採用の背景には、競争の激しい中国の市場で、ジュエリーメーカーと小売業者がブランドに対する信頼を高める施策の一環で、他社と差別化することも狙いにある。

ダイヤモンド鉱山から消費者まで完全なトレーサビリティを実現し、そのダイヤモンドが紛争地域から来たものではないことを証明することができる。

これにより、ユーザーに購入の持続可能性と「倫理的フットプリント」の尺度を提供するという。

ブロックチェーンによる確実なトレーサビリティ

ダイヤモンド採掘企業のAlrosaは、以前からブロックチェーン業界とのコラボレーションを行ってきた。

2018年5月には、KGKダイヤモンドとブロックチェーンスタートアップのD1ミントと提携して、ダイヤモンドのトークン化を行なっている。

ダイヤモンドのサプライチェーンかつブロックチェーンプラットフォームTracrの試験運用では、ダイヤモンド業界をかつて独占していた大手De Beers社と共に参加した。

こうしたプラットフォームは、ダイヤモンドの真正性と紛争のない状態に関わる消費者の懸念を和らげることを目的としている。

ダイヤモンドが戦争地帯で採掘されていないこと、戦闘資金を調達するため違法に取引されたものではないことを証明するものとしても、戦争の解決への糸口になると期待された。

Everledgerのヨーロッパ担当責任者であるEvgeny Gokhberg氏は次のように述べた。

「WeChatなどの使いやすいオンラインプラットフォームで、ダイヤモンドのトレーサビリティを確実に提供する。このイノベーションがトレーサビリティと責任あるビジネス慣行に関して新しい基準を設定すると確信している。」

今回のプログラムは画期的なものであり、製品のトレーサビリティが重要となる他の分野での応用可能性もあることを示唆した。

おすすめの記事