米証券取引所(SEC)との関係模索する仮想通貨取引所

米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産(仮想通貨)に対する訴訟などで強気の姿勢を貫いてきましたが、リップル(Ripple )やバイナス(Binance)に次いで今度は米最大手の仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)を標的にしています。一方,バイナンスは今後、規制当局とは話し合いの精神で事業を展開するとのジャオ・チャンポン最高経営責任者(CEO)の見解を示しています。

コインベースは仮想通貨貸付サービスを中止へ

仮想通貨の市場操作を厳しく取り締まってきたSECはこのほど、コインベースが計画している仮想通貨貸付サービス「CoinbaseLendプログラム」に関して、訴訟の可能性があると同社に対して警告を出していました。同社は仮想通貨貸付サービスを今年10月に開始する予定でした。

SECは9月1日、ウェルズノーティス(Wells Notice)と言われる訴訟に関する公式通知をコインベースに送付しました。しかしコインベースの法務部門は、訴訟そのものや多額の罰金など、訴訟に伴う理由について透明性を求めて異議を申し立てています。

今回SECが訴える理由は、コインベースの貸付機能を「有価証券である」と分類したためです。コインベースのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEO(最高経営責任者)はツイッターに、今回のSECの対応に関して反論する内容を投稿していました。9月17日に同社は、公式ブログにて仮想通貨貸付サービスの提供中止を発表しています。

「規制当局者と折り合いたい」とバイナンスCEOが和解模索

大手取引所バイナンスは現在、連邦政府の調査を受けています。5月には、バイナンスがマネーロンダリングと税務関係で調査を受けているとの報道もありました。また9月には同社に対してインサイダー取引や市場操作の疑いについて調査されているとの報道も出ています。

そのジャオCEOが9月16日、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙との会見で、初めてSECとの和解の意志を表明して、「われわれはステークホルダーの所有権、透明性、リスク管理など明白な記録を所有する必要がある。われわれは業界最大のプレーヤーとして、変化に備える必要があり、規制当局者と折り合っていける変化を起こそうとしている」と語りました。

ジャオ氏はこれまで、仮想通貨自体が非中央集権型であることから、規制当局者の監視下にあってはならないとの意見の持ち主でした。昨今の規制の複雑化が同氏の考えを変化させた可能があります。

参考
Binance battles regulatory headwinds as world’s largest cryptocurrency exchange seeks financial legitimacy
Binance to Implement Changes by Closely Working with Regulators

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