最大手イーサリアム投資信託のグレースケール・イーサリアムトラスト(テイッカー:ETHE)は仮想通貨の長期下落トレンドや姉妹会社のジェネシス・トレーディング(Genesis Trading)の破産の危機などにより記録的なマイナスプレミアムとなる約60%のETH現物価格との乖離を記録。イーサリアムトラストを運用するグレースケール(Grayscale)はイーサリアムトラストの他にもビットコインを運用するビットコイントラスト(テイッカー:GBTC)を有しており、-45%の価格乖離が問題視されていた。

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イーサリアムトラスト(ETHE)驚異の60%乖離

イーサリアムトラストは破産の可能性が浮上しているジェネシス・トレーディングと同じDCG(デジタル・カレンシー・グループ)を親会社に持つグレースケールの姉妹会社として知られており、約63万BTCという巨額のビットコインを運用する投資信託としても知られている。

ビットコインを運用するビットコイントラストは実際に運用しているビットコインの純資産額に対し、GBTCの価格が45%も下回るマイナスプレミアムとなっていることが問題視されているのが現状だ。一方で同社のイーサリアムを運用するイーサリアムトラストの「ETHE」は「GBTC」を上回る約マイナス60%もの価格乖離を記録している。

これはイーサリアム現物を買う場合は1ETHにつき約15.9万円かかるが、「ETHEを購入すれば6.36万円でイーサリアムに投資ができる」という計算になる。

 

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イーサリアムトラスト(ETHE)の記録的暴落

イーサリアムトラスト(ETHE)及びビットコイントラスト(GBTC)は2021年まではこのような価格下落を記録したことがなく、むしろ仮想通貨現物投資よりも投資信託を介した管理リスクフリーな需要が高く、大幅なプレミアム価格で売買されていた。

2020年8月にイーサリアムトラストがSEC(米国証券取引委員会)の報告会社としての登録を申請、同年10月にSECに登録された。グレースケールはGBTCとETHEを上場投資信託であるETFとして移行したいと考えているものの、現時点では私募ファンドかつOTC取引でしか売買されていないため、この登録で1年間の売却ロック期間を半年に短縮することに成功している。

一方でSECはビットコイントラストのETF化を度々否決しており、長期下落トレンドと相まって適格投資家はさらなる下落となると考えて売却しているということになる。

仮想通貨現物価格と逆光

イーサリアムトラストの大幅な下落がはじまったのはFTXの破産と連鎖倒産となったブロックファイ(BlockFi)破産が起きた2022年11月となっている。それまではマイナス30%前後を推移していたものの11月の下落から徐々に売られており、わずか2ヶ月足らずでマイナス60%を記録したのだ。一方でGBTCはマイナス35%前後から45%へと下落していることから、ETHEがより売られているということを示している。

さらに興味深いのは現物価格と真逆の現象だろう。イーサリアムは超大型アップデートであるマージ(The Merge)を終え、EIP-1559によって発行数が日々減少していることからETH現物市場も強気でありこの2ヶ月間のパフォーマンスはETHが-5.49%、BTCが-12.47%とビットコインより下落幅は少ない。対してETHEを保有していた大口投資家達は大幅なマイナスとなるにも関わらず、ETHEのパフォーマンスがGBTCを超えるほどに売却しているということになる。大口投資家達はETH市場とは異なり、今後の仮想通貨市場を楽観視していないようだ。

 

 

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