イーサリアム上でビットコイン(BTC)価格を維持するsBTCの取引を開始したSynthetixとは?

SynthetixがEthereum(イーサリアム)上でビットコイン(BTC)の価格と連動をしたsBTCの取引を開始しました。Synthetixは、Ethereum上であらゆるアセットの交換を仲介者なしに実現することを目指したプロジェクトです。

ドルや円などと連動したアセットを提供

すでに同プロジェクトでは、USドルとユーロ、日本円、オーストラリアドル、金と連動したアセットが提供され、取引されています。今後、Synthetixには、シンガポールドルやカナディアンドル、ニュージーランドドル、ロシアのルーブル、インドのルピー、ブラジルのレアル、ポーランドのズウォティなどが追加される予定です。

Synthetix Exchangeイメージ

出典:Synthetix Exchange

Etheruem上にステーブルコインやリアルワールドアセットを持ち込むSynthetixとは

このような多くの通貨やコモディティを、Ethereum上のアセットとして、特定のサードパーティーの依存せずに、扱うことがでるのがSynthetixです。2018年3月にICOで3,000万ドル(約33億円)の資金調達したオーストラリアのプロジェクトです。

Synthetixは、2018年11月にHeavenからリブランディングをしており、旧名のほうは聞いたことがあるという方もいるかもしれません。(参照 )

Synthetixは、インセンティブ設計によって、

  • Etheruem上にステーブルコインやリアルワールドアセットを持ち込むこと
  • 分散的なペイメントシステム
  • Synthetixアセットの流動性の解決

の3つを実現しています。

Syntheticの大まかなシステムは、MakerDAO(メイカーダオ)などと似ています。つまり、多くのDeFiのプロジェクトと同様にスマートコントラクトによる担保システムがベースにあります。これについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

参考:今の時点で見えるDeFi(分散型金融)の実態と、将来予想

担保にしたアセットを元に、synthetic assets(sUSDやsBTCと呼ばれるアセット)を生成できます。 生成できるアセットは多様で、上述したようにさまざまな新興国通貨なども生成可能です。

これらのアセットは、流動性の問題に直面せず、インドルピーとレアル、ズウォティとビットコインなどを自由なペアで即座に交換ができるとしています。

Synthetixの大まかな仕組み

Synthetixの大まかな仕組みを解説します。重要な要素は以下の2つです。

  • スマートコントラクトによる共有の流動性プール
  • 独自トークン・Synthetix Network Token(SNX)

ユーザーは、スマートコントラクトによる共有の流動性プールに担保を預けます。MakerDAOと考え方は同じですが、異なる点は、MakerDAOなどではETHを預けることに対して、SynthetixではETHではなく、SNXトークンを預けるということです。Synthetixでは、担保率は500%になっています。

担保に預けたSNXを元にステーブルコインなどを発行できます。以下が発行できるMinterというシステムです。

Mintr
出典:Synthetix

この担保を元に発行したステーブルコインは、流動性プールに担保がある限り、それが日本円やインドルピーなどとスワップできます。この場合、実際に日本円やインドルピーを交換しているのではなく、擬似的に交換をしているので、交換相手を探す必要がありません。

さらに、SNXを担保にしているホルダーは、担保率500%が必要ですが、担保預け入れをするメリットがあります。Synthetixで発行されたアセットであるsBTCやsUSDには、Ethreumのgas以外にもSynthetix Feeという手数料が設定されています。

この手数料を担保にしているSNXホルダーは、担保料に応じて収集することが出来ます。
この手数料が収集出来ることがSNXトークンの価値形成になっていると言えます。

以上が、Synthetixの大まかな仕組みです。

まとめ

MakerDAOなどDeFiのプロジェクトに引き続き注目が集まっています。Synthetixは、MakerDAOほどの知名度はありませんが、興味深いプロジェクトです。興味を持った方は、是非触ってみると良いでしょう。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート
イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

関連
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参考
Synthetix Blog


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