2019年の仮想通貨業界は合併・買収が注目される年に?

仮想通貨の世界でも合併は、利益や顧客基盤にとどまらず、競争を減らし間接経費を削減するなど広範囲の利点をもたらすことで注目されます。

仮想通貨関連業界筋は、合併が2019年に特に有望だと見ています。仮想通貨市場はまだ若いですが、すでに注目すべき合併がいくつかあり、今後アッと驚く合併がないとは言えません。乱立気味の業界にあって19年に始まった注目すべき合併・買収についてみてみましょう。

Krakenが先物取引企業買収、フェイスブックは独自トークン発行目指す

米国のサンフランシスコで2011年設立された仮想通貨取引所クラーケン(kraken)は19年2月4日、ロンドンの先物取引企業クリプトファシリティーズ(Crypto Facilities)を買収しました。買収額は最低でも1億ドル(約110億円)といわれ、買収の結果クラーケンは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)などのスポットおよび先物取引を提供する初の取引所になりました。

クラーケンのジェシー・パウエル(Jesse Powell)最高経営責任者(CEO)は、この買収に期待をかけ、欧州に取引を広げるという構想を具体化しました。

同じ2月4日、フェイスブックがブロックチェーンベンチャー企業チェーンスペース(Chainspace)を買収したとのニュースが人々の目を引き付けました。チェーンスペースは、ロンドン大学の研究者が設立したベンチャーで、特にスマートコントラクト関連アプリの開発に専念しています。

一方Facebookは、ワッツアップ(WhatsApp)メッセンジャーアプリを介して取引する独自のデジタル通貨発行を目指しているとのうわさやニュースが18年末以来流れており、今回の買収とも関連が取りざたされています。フェイスブックは、チェーンスペースの人材活用に関心があり、同社のテクノロジーに興味を示していないとの非公式の分析があります。

チェーンスペースの主要な目標の1つは、ブロックチェーン・トランザクションにかかる時間を大幅に短縮することです。フェイスブックに移る研究チームは、フェイスブックのブロックチェーン部門でその専門知識を共有することだと言われています。

バックト(Bakkt)は先物取引のローゼンタールを買収して着々と事業開始目指す

バックト(Bakkt)は1月14日ブログを通じて、長年にわたり先物取引事業を続けてきたローゼンタール・コリンズグループ(Rosenthal Collins Group:RCG)を合併したと発表しました。ブログでは「ほぼ100年にわたりクライアントの信頼を獲得してきた独立系先物取次業者RCGの一部資産を取得する協定を結んだ」と述べています。

RCGは先物取引業界の主要な参加企業であり、個人と企業向けの商品アカウントの管理を専業としています。BakktはRCGの特に財務活動やリスク処理の改善に必要な専門知識を取得することに期待しています。具体的には、マネーロンダリング(資金洗浄)に対する取り組みなどで、Bakktの事業に有用になる見込みです。

目を奪ったVISAとMastercardの決済・送金業者買収争い

18年末から19年にかけて展開された国際決済・送金事業アースポート(Earthport)をめぐるVISAとMatercardとの買収劇は目を引きました。VISAがまず買収額1億9,800万ポンド(約288億円)を提案したのに対して、Mastercardが2億3,300万ポンドを提示、VISAが2月8日、2億4,700万ポンドを再提案したのです。この争いは3月、Mastercardが買収を諦めて決着しました。

韓国の最大手仮想通貨取引所ビッサム(Bithumb)は、18年6月に350億ウォン(約34億円)をハッキングされ、シンガポールのブロックチェーングループBlockchain Exchange Alliance(BXA)に38.7%の利権を買収されて再建を図りました。BXAは12カ国の仮想通貨取引ネットワーク構築を目指しています。

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参考
CryptoNews

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