仮想通貨取引所と金融機関は切っても切れない関係なのになぜ不仲?

金融機関と仮想通貨の間の調整は、なお先が見えてきません。金融機関と仮想通貨取引所は、時には不可分のように見えますが、取引所はそのアイデンティティを失うことを避けるためには、あえて銀行との関係を生み出そうとは思いません。

仮想通貨業界と金融機関がそれぞれ依存する根拠

JPモルガンのeコマース部長ロン・カルポヴィッチ(Ron Karpovich)氏によると、仮想通貨業界は、ファンドを転送するため金融機関に依存しなくてはなりません。同様に、ブロックチェーン技術は、金融機関内で発生する決済システムを強化、スピードアップを図るために採用することができるはずです。

フォーブス誌によると、世界では現在、20億人以上の人々が金融機関を利用しておらず、約50億人がスマートフォンを利用しています。その意味することは、少なくとも50億人以上の人々が、いわゆるデジタル通貨とブロックチェーン技術を利用して、電話を使っていとも簡単に取引することができるはずです。ブロックチェーン技術は、安全・確実で安価そしてスピードが速いのです。

仮想通貨のユーザーは、デジタルウォレットや規制基盤、管理された構造を利用することができます。思慮深い人なら、モバイル事業者と金融システムとを組み合わせる素晴らしいアイディアを考え付くかもしれません。つまり銀行は、仮想通貨を含むさまざまなサービスを立ち上げ、プリペイドクレジットや請求書支払い、モバイルマネープラットフォームなど、一連のサービスを新たに提供することができるでしょう。

銀行は顧客にデジタル資産を利用しないよう警告

仮想通貨業界はなお初期段階にあります。イタリア銀行(中央銀行)など世界の有力銀行はそのため、仮想通貨業界に対して大きな混乱、無秩序、リスキー、投機的、ダーティー、無用、非効率などのレッテルを張っています。事実、金融機関はデジタル通貨の利用方法について、全く満足していません。

一部の金融機関は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)やほかの主要仮想通貨を含むデジタル資産を使って、どのようなビジネスもしないよう顧客に警告するまでに至っています。例えば2019年1月、インド準備銀行(中央銀行)は、ユーザーに対してデジタル通貨の取り扱いを中止するよう強制しました。

中銀は法定デジタル通貨(CBDC)の発行で済むのか?

キャッシュレスの社会では、財政政策上の金利は事実上下限がなくなり、量的な円滑化措置の必要性はなくなります。中央銀行はいわゆる法定デジタル通貨(CBDC)をユーザーに発行して、中銀の要求通りのデジタル決済手段を提供することができます。中銀はまた、銀行券を模倣し、代用できる非中集権型で神秘的な(ブロックチェーン)技術を都合よく利用して、自前のデジタル通貨を発行することができます。

しかし、CBDCの発行は大きなリスクを伴い、その効率上に利点はそれほど大きくはありません。中銀発行のデジタル通貨は、あらゆる不利益を差し引いても大きな利点を見いだすのに苦労することになります。中銀発行の電子マネーになると、金融システムにもっと大きな無駄な努力を課すことになります。

2009年に創設された金融安定理事会(FSB)によると、デジタル通貨は市場全体が迅速に変化しているため、適切で強力な監視手段を持つことになれば、世界の安定にそれほど大きな経済脅威を与えず、銀行の脅威にもならないとしています。ましてやFSBは、世界主要国の中銀や金融監督当局、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの国際機関で構成され、規制や監視を通じて世界の金融秩序の維持を目指していますので、FSBの言うことは説得力があるように思われますが、どうなのでしょうか?

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参考
CoinIdol

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