ビットコインコア開発者、ノード帯域幅使用量を「50%以上」削減する改善提案
ビットコインコア開発者、ノード帯域幅使用量の大幅削減案
ビットコインコア開発者は、ビットコインネットワークの「トランザクション帯域幅」の効率化を図る、新たなビットコイン改善提案(BIP)、「Erlay」を発表した。ほぼ無料でネットワークの接続性を向上させることが可能に。

ビットコインコア開発者、ノード帯域幅使用量の大幅削減案

5月28日、ビットコインコア開発者は、ビットコインネットワークの「トランザクション帯域幅」の効率化を図る、新たなビットコイン改善提案(BIP)を発表した。

「Erlay」と名付けられ、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)研究者のGleb Naumenko氏とビットコインコア開発者の中心的存在であるGregory Maxwell氏や Pieter Wuille氏らによって作成されたこのBIPは、リレープロトコルを変更することで、フルノード運営のための貴重な資源である帯域幅の使用量を、大幅に節減できるようにするものだ。

「Erlay」は帯域幅の効率を高めるために「遅延」と「バッチ処理」という手法を用いることで、ビットコイン取引の処理に必要な帯域幅の量が約75%削減できるという。

Naumenko氏は、大手仮想通貨メディアのCoindeskに送ったEメールで次のように説明している。

(Erlayの背後にある)主な考え方は、(ビットコインネットワーク上の)すべてのピアに全トランザクションをアナウンスするのではなく、少数の接続(8つの発信接続のみ)に対してのみ、アナウンスが直接送信されるということだ。

それより先の中継は、定期的に、保留されていたアナウンス間のすべての接続に向けて、両方向に調整プロトコルを実行することによって達成される。

Naumenko氏によると、このBIPを実装することで、ノードが消費する帯域幅の半分を節約することができ、ほぼ無料でネットワークの接続性を向上させることが可能だという。

さらにアウトバウンドのピア数が32に引き上げられた場合、Erlayは現在のプロトコルと比べ、全帯域幅の約75%の節約も達成できると同時に、タイミング攻撃に対する耐性も高まると、同氏は述べている。

将来の主要なリリースに

Erlayが実装された場合にもたらされる最も重要な成果として、帯域幅の負担が減ることにより空いた容量を活用して、ノードが他のノードとのアクティブな接続数を増やすことが可能になり、ビットコインネットワークの頑健性を高めることに貢献すると、BIP作成者らは指摘している。

現在、ビットコインブロックチェーンのセキュリティは、分散ネットワークの参加ノードに依存している部分があるが、ノード間の接続数を増加することで、悪意のある攻撃に対してネットワークを「強化する」ことができると考えられている。

Naumenko氏はそのような攻撃の一例として、ターゲットとなるノードが保持する全ての接続を攻撃者が乗っとることで、ノードがP2Pネットワークから分断される、Eclipse(日食)攻撃を上げている。

ビットコインネットワークの強化に寄与する可能性の高いErlayに対する開発者コミュニティからの反応はポジティブで、コミュニティからのサポートが引き続き得られるならば、「このプロトコルは将来の(願わくば、次回の)主要なリリースの一部になるだろう」とNaumenko氏は述べている。

また、ブロックチェーン開発企業Blockstream社の共同創設者兼CEOのAdam Back氏は、Erlayの「mini-sketch(ビットコイン・ノードの必要帯域幅を縮小させる技術)を使った効率的なP2Pトランザクション」プロトコルは、通信経費を削減することにより、ビットコインブロックチェーンのスケーラビリティを向上させるという意味で、大変興味深いとコメントしている。

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