Cイーサリアム開発ツールのトリュフ(Truffle)が子会社化!ブロックチェーン企業Axoniとの統合も判明
イーサリアム(Ethereum)に特化するインキュベーターであるコンセンシス(ConsenSys)社から、トリュフ(Truffle)が子会社化されたことが報道されました。

コンセンシス(ConsenSys)から独立するトリュフ(Truffle)

Truffleは、イーサリアムのアプリケーション開発フレームワークです。スマートコントラクトアプリケーションが複雑化し、チームで開発するような状況になると、デプロイ、テスト、マイグレーションなどが必要となり、それらを円滑にすることができます。

イーサリアム上でアプリケーションを開発したことがある人にとっては、恐らく馴染みのあるツールであり、もし使ったことがなければ是非一度使ってみると良いでしょう。

今回の子会社化を契機に、300万ドル(約3億3,000万円)の資金調達を実行しており、ConsenSys社から独立して経営されることになります。なお、今回の調達にはConsenSys社も参加しており、同社は引続き株主になります。

Truffleは、今後エンタープライズレベルの開発フレームワークを提供するとしており、クオラム(Quorum)やハイパーレジャー(Hyperledger)などとの統合を進める予定であるとしています。同時にその一つが、アクソニ(Axoni)のブロックチェーンであるアクスコア(AxCore)との統合だとフォーブス(Forbes)は報じました。

今回統合されるアクソニ(Axoni)とは?

Axoniは日本における認知度は低いですが、海外、特に米国では非常に注目されている企業です。同社には、JPモルガンやウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo & Company)、香港上海銀行(HSBC)等の投資銀行や、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、Yコンビネータ(Y Combinator)など金融とITのトップ企業がそれぞれ投資をしています。

同社が開発するブロックチェーンは、トレード・インフォメーション・ウェアハウス(TIW)での採用を目指し、実証実験が行なわれています。

TIWは米国の証券保管振替機関(DTCC) が提供するサービスで、支払い計算および決済に関与する当事者情報が、マスターデータで統合管理されたゴールデンレコードとして機能するほか、11兆ドル(約1,210兆円)相当にもなる全世界のクレジット・デリバティブ取引の内、約98%のライフサイクル・イベントを処理しています。

つまり、店頭(OTC)デリバティブ取引において、マッチング、決済額の算定、想定元本の変更等のポストトレード処理を担っています。

なお、DTCCは米国版証券保管振替機構のような機関で、中央証券保管所として米国の証券取引の大部分を決済しています。そこでの実用を目指した実証実験がされてる点で、Axoniの技術力は非常に評価されているだろうと読むことができます。

TIWを皮切りに、Axoniの技術が実用化される事例が増えれば、金融エンタープライズ領域において非常に強い優位性を持つプレイヤーになることは間違いないでしょう。Axoniについては、より詳しいレポートを配信しています。

世界的に最も広く使用されるイーサリアムの開発者ツールであるTruffleが、著名なエンタープライズ向け分散型台帳技術(DLT)プロジェクトが並ぶ中でAxoniとの連携を決定したことは、Axoniの技術が中期的に大きなインパクトを持つのを見越していると考えるのが自然であると言えます。今後、日本でも注目される可能性があるでしょう。

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参照
Forbes


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