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Facebookがイニシアチブをとるリブラ(Libra)のプロジェクトを主導する責任者は、2018年からブロックチェーンチームをリードしているデイヴィッド・マーカス(David Marcus)という人物です。

最適な経歴を持つ人物がLibraのプロジェクトをリード

マーカス氏は、取引所のコインベース(Coinbase)のボードメンバーを兼任していましたが、2018年8月に利益相反を懸念して退職しています。また、Facebook入社以前はPayPalでエグゼクティブの経験があり、入社後はメッセンジャー部門を担っていた人物です。

Libraの発表と同時にマーカス氏は、アプリケーションを担う完全子会社のカリブラ(Calibra)の社長に就任したことも発表されています。下記はリブラの発表があった日の同氏のツイッターの投稿です。

Calibraのインターフェイスはメッセンジャーに統合されることがすでに明らかになっており、メッセンジャーをリードしていたマーカス氏は、メッセンジャーを完全に理解しているはずで統合はスムーズに進むのではないかと予想されます。また、個人間送金サービスのPayPalでの経験もあり、経歴として彼ほど適切な人材も珍しいでしょう。

インタビューから読み取れる3つのこと

ブロックチェーン関連メディアの「Decrypt」に掲載されたマーカス氏のインタビュー記事から読み取ることができる3つのことを紹介します。

トランザクションについて

マーカス氏によると、多くのトランザクションはブロックチェーン上ではなく各サービスのサーバー内でやり取りされると想定されています。そのためCalibraもサーバーで運用の可能性が高いことが読み取れます。

しかし、この仕様は日本だと、「事業者が顧客のために暗号資産を預かる」に該当し、カストディ規制に該当される運用方法です。Calibraが日本の展開の際に、日本の事業者としての適切なステップを踏むのであればカストディライセンスの枠で規制されることになります。

プライバシーについて

Calibraでの送金履歴などの情報は守られるといいます。これはパブリックブロックチェーン上で公開されないという意味でのプライバシーであると読み取れます。また、送金などに関わる情報は、親会社Facebookと分離された子会社のCalibraで担うことから、他のソーシャルデータと組み合わせた使い方は行わないとされています。

この点に関しては、フォーブスの予測記事で挙げられていた懸念の一つでもあります。

関連:Facebookの仮想通貨リブラ(Libra)、グローバル企業vs国家の観点で考察する

バリデータはどのようにお金を得るのか

Libraのバリデータの要件ハードルは非常に高いです。バリデータが資金を得る方法は主に2パターンあります。

バリデータノードは1,000万ドル(約10億円)の投資と引き換えに得た「Libra Investment Token」で、将来リザーブ資産から金利収入を得ることになります。もう一つは、Libraに関連するビジネスを立ち上げることです。バリデータの立場で、Libraというプロトコルの上にビジネスを立ち上げることは、いくらかビジネスをドライブさせやすい可能性があります。

今後もしばらく同プロジェクトについては注目が集まることが予想され、マーカス氏の発言にも注目が集まるでしょう。Twitterアカウントなどはチェックしておくべきかもしれません。

参考
Facebook’s blockchain lead David Marcus: “I want Libra coin to last hundreds of years”

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