コインベースが150倍レバレッジ取引所の出資ラウンドに参加、オフショアに出資する理由とは?

米最大手仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)が、150倍レバレッジの取引所ブレード(BLADE)に出資したことが明らかになりました。

Coinbaseが150倍レバレッジの取引所Bladeに出資ラウンドに参加

BLADEは今回、430万ドル(約4億5,000万円)を調達し、同資金調達ラウンドにはSV AngelやA.Capital、Slow Venturesなどが投資をしています。同取引所はオフショアに登記され、米国では利用を制限される予定です。

すでにサイトはオープンしており、10万ドル(約1,050万円)までの取引であれば、取引手数料が無料になるというキャンペーンもアナウンスされています。

image of BLADE Exchange
出典:BLADE

同取引所ではビットメックス(BitMex)などが取り扱いをする永久先物の商品を模倣しており、レバレッジはBitmexの100倍よりさらに高いです。

なぜ米国の事業者はオフショア取引所に出資するのか?

コインベースをはじめとした米国内の事業者が今回投資している理由は、自国では規制の観点からレバレッジ取引所を運営できないためであると推察してほとんど間違いないでしょう。米国ではレバレッジ規制があり、コインベースもジェミニ(Gemini)もレバレッジ取引を提供していません。

現在、規制が少しずつクリアになっている中でも、オフショア取引所にシード投資をするということは、ある示唆も得れます。それは、少なくとも5年くらいの期間は、完全に規制された取引所のみが利用されるという状況にはシフトせず、オフショア取引所がある程度の市民権を得たままである、と恐らくコインベースを含む本件の出資者は考えているのではないかということです。少なくともそう考えていない限り、こういった投資はできません。

似たような事例としてデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)やポリチェーンキャピタル(Polychain Capital)がコインフレックス(CoinFLEX)という同じくオフショア先物取引所に投資をした事例が2019年に入ってからあります。

また、サークル(Circle)の傘下であるポロニエックス(Poloniex)はバミューダ諸島にグローバル子会社を設立しました。

こういったグローバルサービスという名のオフショアサービスは、やはり今後もしばらくは続くはずであり、それはFXやCFD業界でも繰り返した歴史でもあります。詳しくはこちらのレポートで述べています。

もしオフショア取引所が5~7年後、規制がさらにクリアになることによって、顧客が集まらなくなったとしても、今回出資したような事業者は、彼らの技術や先物運営ノウハウを吸収できます。技術や運営ノウハウというものは、運営しているプレーヤーでしか身につかないものです。

しかし、先物やレバレッジ取引所は現在、オフショアでしか運営できません。だからこそコインベースをはじめ、今はオフショアに投資をして、将来に規制がクリアになったときに自国に持ち込めるように準備しているとも見てとれます。

参考
Blade raises $4.3M from Coinbase, SV Angel to reshape cryptocurrency derivatives trading
BLADE

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