次はゴールド裏打ちの仮想通貨?テザー社が新たなステーブルコイン構想を検討

新たな仮想通貨発行を目論むテザー社

テザー社の姉妹会社である仮想通貨取引所ビットフィネックス(Bitfinex)株主のチャオ・ドン(Zhao Dong)氏が、ビットカン(Bitkan)でのインタビューで「CNHT」と呼ばれる中国元ベースとなる仮想通貨の発行を示唆しました。そして、金・ゴム・原油などの商品価値に裏打ちされた、新しいステーブルコインの発行も検討中のようです。

テザー社は以前から米ドル・ユーロ・日本円にそれぞれペッグされたUStether、Eurotether、Yentetherというトークンの発行を計画していました。さらにチャオ氏は、もしCNHTが発行された場合には、中国を拠点とする仮想通貨のレンディング・ウォレットサービスの運営企業であるレンレンビット(Renrenbit)で全面的にサポートするとも述べています。

世界で最も使われている仮想通貨

昨今では、テザーの発行プラットフォームは、オムニレイヤ(Omni Layer)とイーサリアム(Ethereum)チェーンにおけるUSDTの発行数は近づいてきています。その他にもイオス(EOS)、トロン(TRX)、ブロックストリーム(Block Stream)のリキッドネットワーク(Liquid Network)の各チェーン上でも発行されるようになり、アルゴランド(Algorand)上での発行も発表されました。

USDTは最も使われている仮想通貨と言われ、1日あたりの取引処理数は、ECR20ベースがおよそ10万ものトランザクションがあり、オムニベースの約3万9,000トランザクションを大きく上回っています。チェーン移行の理由については、トランザクションの処理費用低減と、処理速度の向上が見込めることが最も大きな要因になっているようです。

またチャオ氏は新たに、テザー社が金・ゴム・原油などの商品価値をベースにした、新しい通貨となるコモディティー・コイン(Commodity Coin)の発行も計画中であることに言及しました。それに対して、政府管理の独自仮想通貨の発行を進める中国人民銀行(PBOC)は、今後、中国政府がテザーに対する規制に乗り出す可能性を示しています。

中国規制当局を逆なでする計画

仮想通貨を支持する人々の中には、テザーの試みについて警鐘を鳴らしています。米国仮想通貨ファンドであるプリミティブ・ベンチャーズ(Primitive Ventures)創業者であるドビー・ワン(Dovey Wan)氏は、「CNHTの必要性は今のところ見られない。中国国内の仮想通貨取引は、USDTと中国元で行われるだろう。これは逆に中国の規制当局を逆なでする行為だ」と述べています。

また香港の仮想通貨取引所エルバンク(Lbank)の創業者であるヒー・ウェイ(He Wei)氏も、「この試みは全くの無意味だ。中国国内のトレーダーにも国外にもそのような需要はない」と一蹴しました。

テザー社が掲げた新しい取り組みの難しさと、取り巻く状況を考えると、中国元や商品価値をベースにした仮想通貨の登場は、まだしばらく先のことかもしれません。

参考
Tether Plans to Mint Digital Yuan and Commodity Coins, Says Bitfinex Shareholder

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