ターミナル(Terminal)は、分散型アプリケーション(DApps)開発に最適化されたweb3時代のGitHubのような新しい開発者プラットフォームを作るプロジェクトです。この夏、サービスをローンチしました。
Terminalはスマートコントラクトを直接デプロイ可能
Terminalはコンセンシス(ConsenSys)出身のハリソン・ハインズ(Harrison Hines)らが起業したスタートアップで、 コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)や ディストリビューテッド・グローバル(Distributed Global)、デジタル・カレンシー・グループ( Digital Currency Group)など著名投資ファンドが370万ドル(約4億円)の投資を2018年末に実行しています。その後、開発期間を経てサービスが公開された格好です。
Terminalでは通常のGitHubの基本機能に加えて、Terminal上からスマートコントラクトを直接デプロイできることが特徴です。その他にも、自身のスマートコントラクトにどれだけの外部アドレスが接触しているかなどのデータ分析や、インフラ(INFURA)のようなノードのホスティングを将来的に行えるようにしていくといいます。
後者のそれらの付帯サービスによってマネタイズをしていくのではないかと予想されます。
また、このようなサービスが解決できるブロックチェーンアプリケーションの開発における課題は多くあるだろうと思われます。Terminalは、既に分散型取引所のプロトコルである0xによって使用されていることが米メディアで明かされています。
出典:Terminal
非エンジでも開発ツールの充実が重要な理由
このような開発者のトピックは、非開発者のユーザーにとっては関心が低いかもしれませんが、開発ツールの充実は強調しきれないほどに重要であると言えます。
さまざまなスマートコントラクトプラットフォーム同士の開発者獲得競争において、開発者ツールが揃っているブロックチェーンとそうでないブロックチェーン上で、同じようなアプリケーションを作ることになったとき、十分な開発者ツールがそろっているブロックチェーンでは、開発スピードが数倍にまで差が出ることは容易に想定できます。
それだけの差が出るのであれば、開発者はやはり開発環境が充実しているブロックチェーン上に移行をするのです。トランザクションコストが高い、スケーラビリティの解決に時間がかかりそうという理由があってもイーサリアムのブロックチェーンが引き続き開発者に支援される傾向が強い理由はそのためです。
トリュフ(Truffle)やINFURAといったツールや、今回リリースされたTerminalもイーサリアムでの使用が想定されています。後発のスマートコントラクトプラットフォームを目指すブロックチェーンプロジェクトでイーサリアムと競合する場合は、この開発者環境の差を解決する必要があるでしょう。
Facebookがイニシアチブをとるリブラ(Libra)は大資本で開発者ドキュメントやツールを用意するかもしれないですし、トロン(Tron)はイーサリアムのバーチャルマシンを採用し開発者資産をそのまま使えるようにしています。
このように全ての汎用ブロックチェーンにおいて、開発者のための環境整備は急がれているトピックで、ブロックチェーンにおいては投資を目的としているユーザーもその事実を知っておくべきでしょう。
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