ゴールドマンサックスやJPモルガンはLibraに関与せずと表明、犯罪行為への利用を懸念

JPモルガンとゴールドマン・サックスは距離を置くと表明

ビジネスインサイダー(Business Insider)によると、JPモルガンチェース(J.P.Morgan Chase)とゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、フェイスブック(Facebook)からのLibraプロジェクト参加要請を断りました。

2社の最大の懸念は、Libraが最終的に、マネーロンダリングや犯罪行為に用いられるのではないかということです。一方のFacebookは、JPモルガンとゴールドマン・サックスの不参加について、何もコメントをしていません。

Libraの現状

LibraはFacebookが主導するブロックチェーンプロジェクトで、発行予定の暗号資産(仮想通貨)はドル・ユーロ・ポンド・シンガポールドル・日本円などの法定通貨によって価格の裏付けを行うとしており、他の仮想通貨よりも安定的な価値を持つステーブルコインであることが予想されます。

Libra協会(Libra Association)最初の会議には20以上の企業幹部が参加し、そこでLibraの現状について協議しました。

基本的なガバナンスについて協議した上で、オンラインウォレット・サービス企業ザポ(Xapo)最高経営責任者(CEO)であるベンセス・カサレス(Wences Casares)氏、米大手投資会社アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)のゼネラルパートナーを務めるケイティ・ホーン(Katie Haun)氏、Libraプロジェクト共同設立者のデビッド・マーカス(David Marcus)氏を含む5人が役員に任命されています。1年間ですべての規制問題に対処した後、2020年半ばにはLibraは公開される予定でした。

強まる規制とLibra包囲網

規制当局が案じているのは、Libraが通貨政策や金融システムに悪影響を与えないかということと、企業やユーザーがLibraをどのように扱うか、そしてそれが犯罪を招かないかということです。アメリカの国会議員たちは、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)事件という事例があったことから、Facebookが仮想通貨業界に参入することに懸念を深めています。

Facebookの仮想通貨部門責任者でもあるデビッド・マーカス氏は、米上院銀行・住宅・都市問題委員会(Senate Committee on Banking,Housing,and Urban Affairs)にて、Libraプロジェクトに関する見解を求められました。それに対してマーカス氏は、規制当局の懸念が解消されるまで、FacebookがLibraを公開することはないと約束しました。

さらに2019年7月にはマクシーン・ウォーターズ(Maxine Waters)下院議員と他議員の連名で、懸念を残したままでLibraプロジェクトを進めないことを求める書簡を、Facebook側に送っています。

これらの批判には、Facebookや他の大手テック企業が市場を独占するという懸念も含まれています。現在進行中の大統領選挙にて、民主党代表候補であるエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員も、GAFAのような巨大なテック企業の解体を自身の綱領に掲げています。

規制強化の動きに対して、支援者たちも危機感をつのらせ、JPモルガンとゴールドマン・サックス以外にも、ペイパル(PayPal)、マスターカード(Mastercard)、ビザ(Visa)、イーベイ(eBay)などの大手企業を含む、当初参加表明をしていた協力者の内、4分の1が撤退する事態になっています。

しかしLibra協会は、既に1500以上の組織が、Libraプロジェクトへの参加に関心を示していると発表しています。その内180の組織は、Libra協会への正会員資格を満たしており、これらが撤退した企業のポジションに取って代わることになるのでしょう。

こうした一連の騒動の中で、FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は10月23日に、Libraについて議会で証言する予定です。

参考
J.P. Morgan and Goldman Sachs reportedly rejected any involvement in Facebook’s Libra cryptocurrency because of fears it would be used by criminals
JPMorgan And Goldman Sachs Will Not Be Part Of Libra

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