ブロックチェーン活用の日本発人材マッチングサービス「職歴BANK」がリリース

東京都文京区に本社を置き、HRTechサービスを提供する株式会社SKILLが、ブロックチェーンを活用して職歴情報の信憑性と価値を向上させる人材マッチングサービス「職歴BANK」のサービス提供を11月11日より開始した。

内容としては、職務経歴情報に対して第三者によるリファレンス情報を加えることにより、経歴内容の信憑性と価値を向上させることを特徴とした、ワーカーと企業をつなぐ人材マッチングサービスとなっている。今回のリリースに基づき、どのような仕組みで、どのような目的を持ったサービスかを確認しておこう。

利用者自身によるリファレンス取得が可能

リファレンスチェックとは、就職や転職の採用フローの中で、企業が採用候補者に対して行う職歴情報の正しさや人物像などの確認のことである。一般的に、採用を考えている企業がコストを掛けて、候補者の同僚や上司などに対して問い合わせる形で実施されていた。

しかし、職歴BANKでは、利用者自身がサービス上からリファレンスを取得することが可能となっている。サービスに登録した自分の職歴情報について、第三者にリファレンス依頼を送信して回答を取得することができ、ここで取得したリファレンスは自分の職歴情報の証明として活用できるようになる。

企業の採用コスト削減

企業は、オファー送信機能により、利用者に対して仕事のオファーを送ることができる。リファレンスのついた信憑性の高い職歴情報をもった人材にアプローチできるため、他のダイレクトリクルーティングサービスと比較すると、無駄なオファー送信や採用後のミスマッチなどの削減につながるといった、コスト削減を見込むことができる。

利用者への利益還元

センタリング
出典:職歴BANK サービスページ

一方、利用者は、企業から仕事のオファーを受け取ることができる他に、オファーを受ける度にポイントを獲得できるというメリットがある。1オファーあたり500円から1,000円分のポイントが、オファー返信時に付与され、取得しているリファレンス数に応じてポイント数が変化していく仕組みだ。獲得したポイントはサービス内のウォレットで管理され、Amazonギフト券と交換することができる。

ブロックチェーンによる検証

職歴BANKでは、利用者のアカウント、職歴情報およびリファレンス情報の真正性の検証にブロックチェーンを活用している。利用者のアカウントには固有のアドレスが紐付けられており、そのアカウントから登録される職歴情報やリファレンス情報のハッシュ値がブロックチェーン上に登録される仕組みで、情報そのものがブロックチェーン上には登録されるわけではない。これによって利用者自身による職歴情報の「所有権」の検証が可能となっており、職歴情報およびリファレンス内容の真正性が担保されることになる。

なお、ここで用いられるブロックチェーンはサービス提供元の株式会社SKILLと、エン・ジャパン、日本マイクロソフトの3社によるコンソーシアム型ブロックチェーンとなっている。

職歴管理ツールとしての活用

センタリング
出典:職歴BANK サービスページ

職歴BANKへの職歴情報の登録は、プロジェクト単位で職歴を登録し、それに対してリファレンスを取得するようになっている。例えば自らのプロジェクトを振り返ったり、リファレンスによる客観的なフィードバックを受けたりできるなど、日頃から職歴情報を棚卸しすることで、利用者は今後のキャリアを考えるためのツールとしての使い方もある。

職歴BANKの目的とは

昨今では人材の流動性が高まるとともに、企業の採用スタイルも今すぐ転職を考えていない候補者にもアプローチし、継続的に関係を構築するというものへ変化してきている。これはワーカーにおいても同様で、自分の職歴や活動内容を名刺代わりにして、日頃からさまざまな企業と関係を構築しながらも、自分が最も活躍できる環境で働くというスタイルが増えてきている。

従来のダイレクトリクルーティングサービスでは、転職意向が高まったときにしか職歴情報は更新されない上に、オファーを送っても反応が少なく、そもそも企業とビジネスワーカーのコミュニケーションが始まらないという状況が多く見られる。職歴BANKはこういったスタイルのユースケースに適した構造にすることで、企業とビジネスワーカーの関係構築の促進を目的とするサービスだ。

ブロックチェーンの社会実装に取り組みつつも、まだまだ実証実験の域を出ないものが多い中、職歴BANKは、確立されていたビジネスモデルとブロックチェーンの特性を活かして新たな価値を作り、その価値から生じる利益が主権者である利用者に還元されるサービスになっている。

参考
株式会社SKILL
職歴BANK サービスページ

【こんな記事も読まれています】
ブロックチェーンの活用が進む学位の詐称を防止する取り組み
ブロックチェーン上で卒業証書を授与、カナダの大学で実施へ
なぜブロックチェーンが使われる?スタンフォード大学が各分野の調査レポートを発表

おすすめの記事