Forbesがブロックチェーンを利用した会員システムを採用、その仕組みは?

経済誌であるフォーブス(Forbes)がブロックチェーンを利用した会員システムの仕組みを採用することを発表しました。

Forbesの会員権トークンは7日・30日の2種類が提供されます。会員権トークンはNFTで定義され、イーサリアム(Ethereum)上で発行されます。会員権トークンを持っているユーザーは、Forbesのサイトを広告無しで閲覧することができます。

メタマスク(Metamask)やオペラ(Opera)などのイーサリアムのウォレットを連携した状態でForbesのサイトを訪れると、アカウントへの接続が行えます。ForbesのWebサイトは、ビジターがトークンを保有しているかどうかをブロックチェーン上で確認して会員機能を有効にします。有効期限は7日・30日の2種類が用意されており、有効期限が過ぎるとスマートコントラクトにより自動的に失効するとされています。

トークン化と通常の課金との違いはどこにあるのか?

顧客に課金して広告を見せないオプションを用意することは当然、ブロックチェーンを使用しなくても実装可能な機能です。ではこの機能を会員証としてトークン化することにどのような意味があるのでしょうか。

まずトークンの二次流通が可能です。一度有料機能を購入して、やはりあまり使わなかったというようなユーザーは市場で売却することができます。また、二次流通とは販売することだけに限らず、他のユーザーにプレゼントのように送ることも可能です。それだけでなく、なにかのキャンペーンでこのトークンを300枚配布するというようなことも実施しやすいです。

Forbesが実装に使用したUnlockというプロトコルとは?

Forbesは本機能の実装にアンロック(Unlock)というプロトコルを採用しています。Unlockでは、クリエイターやメディアは数行のJavaScriptのコードを用いて、あるWebサービスへのコンテンツの閲覧をアクセス権限がある人だけに制限をかけることができます。

アクセスできる鍵は、Non-Fungible Token(NFT)で制御され、トークンを保有している人しかコンテンツを閲覧できません。Unlockにおいて、このアクセスコントロールは、lockと呼ばれており、イーサリアムにスマートコントラクトをデプロイする一連の動作を指します。lockのスマートコントラクトでは、鍵の価格、販売する鍵の数、鍵の期限などが関数として制御できます。

このデプロイのあとにコントラクトアドレスが生成され、購読者であるユーザーはETHを当該アドレスへ送ると、NFTを受け取ることができ、そのNFTが会員権として機能します。UnlockのJavaScriptのコードが埋め込まれたWebサイトではMetaMaskが起動して、当該NFTを保有していないとアクセスできないようになります。
上述の通りこのNFTは、アクセス期限や供給量を制御することができるため、これによって100人限定のコンテンツを作ることもできますし、そのNFTを売買する市場も作ることができます。逆に売買をさせたくない場合は、譲渡の可否を制御することも可能です。

既にWordPressのプラグインも発行されており、発行したコントラクトアドレスを入力するなどの動作のみで、既存のワードプレスのサイトでもNFTの認証がないとコンテンツが閲覧できないようにするなどが可能となっています。

海外でもこのようなメジャーなサイトが事例をリリースしていることで今後国内でも取り組みがあることが期待されます。

参考
Unlocking an ads-free Forbes

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