本コラムでは複数回にわたって決済利用で急成長するステーブルコインプロジェクトであるテラ(Terra)について取り上げます。Terraの特徴は実際に支払いで用いられている点で注目されており、今後さまざまな国でも影響力を強める可能性があります。Terraの基本的な解説は下記のコラムでご覧ください。
【関連】
・Terraとは?急成長するステーブルコインプロジェクト
Terra Moneyのトークン設計・LUNAの役割
前回のコラム「ステーブルコインTerraの価格安定の仕組みとは?」では、価格安定の仕組みについて解説しました。
ステーブルコインTerraの価格安定はアルゴリズムによる供給量のコントロールで実現しています。このアルゴリズムによる供給量のコントロールの機能形成に必要なのが、LUNAというもう一つのトークンであると説明しました。
ユーザーがTerraのプロトコルに投資をする場合、LUNAというトークンが投資対象となり、その役割を理解することは必要不可欠です。本コラムでは、TerraのトークンエコノミクスについてとLUNAの保有者がTerraの経済圏から得られる恩恵について解説します。
前回のコラムでも説明した通り、Terraの価格安定性を保つために、Terra(Terra SDR)の価格変化にあわせて、LUNAは下記のように働きます。
- Terraの価格がターゲット価格より高い場合:アルゴリズムは自動的にTerraを発行し売却する。その売却益はLUNAを市場で買い戻すことに当てられ、そのLUNAはバーンされる。
- Terraの価格がターゲット価格より安い場合:アルゴリズムは自動的にLUNAを発行・売却して、その売却した資金でTerraを買い上げる。買い上げた資金でTerraを購入し、ターゲット価格に引き戻す。
LUNAを保有するバリデータ(マイナー)のインセンティブ
Terra MoneyのブロックチェーンはCOSMOS SDKによって作られたブロックチェーンです。つまりコンセンサスアルゴリズムはTendermint Core(BFT-DPoS)です。Terra Moneyのブロックチェーンにおいては、LUNAの保有者がバリデータノードを建てるか、バリデータノードにデリゲート(委任)することでコンセンサス、ブロック生成に参加できます。
Terra Moneyでは、このバリデータノードはマイナーとも呼ばれています。ブロックを生成できる確率は、ステークしているLUNAの総量に基づきます。マイナーは下記のインセンティブによってネットワークに参加することが期待されています。
【トランザクション手数料】
Terraは少額のトランザクション手数料が課され、ブロック生成者はこの手数料を収集することができる。トランザクション手数料はデフォルトで0.1%・最大1%の間でガバナンスで決められる。
【シニョレッジ】
LUNAの作用①で述べたように、Terraの需要が高まればTerraは新規発行され、同時にそのTerraの売却益によってLUNAが市場で購入され、そのLUNAはバーンされる。LUNAの1単位あたりの価値は高まる。
投資対象としてのLUNA・LUNAのファンダメンタルは何から判断できるか
LUNAのファンダメンタルズは何から判断できるでしょうか。まず、第一にトランザクション量・決済でどれだけ使用されているかでしょう。この手数料の一部がトークンホルダーに還元されるため、決済の利用の伸びを観測することは非常に重要な指標になると言えます。この指標はこちらのサイトから確認できます。
次にTerraのステーブルコインの価格がもし安定せず、ボラティリティが発生してしまっている場合は、LUNAの投資家のリスクは高まっていると言えます。
もしステーブルコインの価格が安定せずに暴落した場合、その買い支えは、LUNAの新規発行からであり、それはLUNAの保有者にとってはインフレーションによる価値の毀損となります。これらを考慮して、ユーザーはTerraのエコシステムにステークホルダーとして参加するかを検討するべきであると言えます。
Terraをもっと知るには
■日本語Discord:https://discord.gg/SPXxnuu
■Twitter:https://twitter.com/terra_Japan
■公式サイト:https://terra.money/
■ホワイトペーパー:https://terra.money/static/Terra_White_Paper.pdf