中国で暗号資産の締め付け強まる、デジタル人民元と仮想通貨は二律背反?

中国政府は最近、暗号資産(仮想通貨)のマイニング規制を強化、 最大手SNSのウェイボー(微博)から仮想通貨に関連する多数の情報記録が消去するなど、仮想通貨に対する締め付けを強めています。

デジタル通貨政策の締め付けでマイニング事業所などサービスを停止へ

劉鶴(Liu He)副首相と国務院金融安定発展委員会は5月21日、金融政策の枠組みを保証するため、デジタル通貨に関するガイドラインを強化するとの声明を発表しました。発表の中で強調されたことは、ビットコインのマイニングと取引、送金の規制強化でした。

ハッシュカウ(HashCow)やBTC.TOPなど大手マイニング事業はこれによって、中国国内でのマイニング活動を中止せざるを得ない事態に追い込まれました。日本にも支店を保有する中国最大手の仮想通貨取引所のフォビ(Huobi)は、中国国内の新規ユーザーを対象に一部サービスを停止することを発表しています。

声明の影響は大きく、マイニングプールのBTC.TOPは中国事業の中止を発表、ハッシュカウもまた新たな採掘用リグの購入を停止しました。北京を拠点とするファミリーオフィスであるノヴェム・アルカエ・テクノロジーズ( Novem Arcae Technologies)の最高投資責任者(CIO)であるチェン・ジャエ(Chen Jiahe)氏は「仮想通貨の採掘は大量のエネルギーを消費しており、それは中国のカーボンニュートラル政策に反している」と述べています。

ウェイボーの仮想通貨情報が抹消

中国政府は6月初旬以来、ウェイボー(微博)などSNSサイトの仮想通貨情報を締め付けています。

中国のSNSで影響力を持つ人物のことをKOL(Key Opinion Leader)と呼びますが、自ら「Woman Dr. bitcoin mini」と称するアカウントが6月5日、ウェイボーから抹消されました。

ニューヨーク大学法学部非常勤講師のウィンストン・マー(Winston Ma)氏は「中国政府は、イーロン・マスク(電気自動車メーカーのテスラ共同創業者兼CEO)の中国バージョンは、一切存在することができないことを明らかにしている」と語ります。

同氏は、「中国高等裁判所は遠からず、ビットコインマイニングと取引業を刑法と結び付ける法律上の解釈を公表することになるだろう」と予測しています。

開発最終段階のデジタル人民元と仮想通貨は二律背反になるか?

中国国営テレビCCTVは、デジタル通貨が違法な取引所、違法な税金逃れ、武器道輸出入、海賊行為、賭博、麻薬取引などに日常利用されていると伝えています。

これらの動きと並行して、中国人民銀行(PBoC)は最終段階にあるCBDCの開発を進めています。デジタル人民元は、2022年冬季オリンピックで正式発行されるという憶測もあります。

参考
China blocks several cryptocurrency-related social media accounts amid crackdown

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