QUOカードPay(クオカードペイ)発行開始!事業責任者の瀧上氏に直撃インタビュー

今や国民の92.3%(※)が知っているという便利な「QUO(クオ)カード」。手軽なプリペイドカードとして、ギフトにも多く利用されています。一方、○○ペイと呼ばれるスマホ決済が一気に広がりを見せる中、QUOカードからも遂に「QUOカードPay」というデジタルギフトが登場しました。
今回は事業責任者の瀧上氏に、QUOカードPayの特徴と開発への思いを語っていただきました。

※2018年6月㈱クオカード調べ

QUOカードPayで「デジタルギフト」という新たなジャンルを

――QUOカードPayが誕生したきっかけを教えてください。

QUOカードは昨年5200万枚超、年間で700億円近くを発行しているプリペイドカードです。1987年に会社を設立して30年以上、おかげさまでずっと発行が伸びてきていまして、気持ちが伝わるギフトとして長い間ご愛顧いただいております。

ギフトカードとして手渡しするお客さまもいらっしゃいますが、「メールなど、ネット上で簡単に渡せるようにしたい」というご要望も多く、我々としても「スマホなどのデジタル化に応じた、ギフトの新しい贈り方をつくっていきたい」ということで、「QUOカードPay(クオカードペイ)」の開発を始めたわけです。

――ユーザーから要望の声があったということですか?

はい。特にこの2、3年は、スマホのサービスが急激に増えてきています。
「何万人に500円のQUOカードプレゼント」といった販促での大規模な活用も増えており、大規模になればなるほど、カードをたくさんの方に発送する作業が物理的に大変だという声もありました。デジタルで送れるのであれば、10万人でも100万人でも一瞬で簡単にできてしまうので、特に販促を行う企業さまからのご要望が多かったという背景があります。

――「デジタルギフト」という新たなジャンルができましたね。

ギフトというと、花をプレゼントするとか、お菓子をプレゼントするとか、いろいろな形があると思います。
我々はリリースしてすぐに、お世話になった企業さまに対し、会食のお礼などとして、このデジタルギフトを使う機会を増やしてきました。そうすると、そのお客さまも「私もほかのお客さんとの会食で、QUOカードPayを使ってみよう」ということで、利用してくださるようになってきたのです。

最近では会食のお礼をするにも、健康志向でお客さまがスイーツを控えているなど、選ぶのが大変です。
そういったとき、何かお礼の言葉と気の利いた画像を添えてQUOカードPayをデジタルで送るのは、非常に良いと思います。「お客さまが好きな加盟店でお買い物ができるところがいい」というお話もいただいています。

――カードからペイに変わったことで、文化やユーザー層も変わってきているイメージですか?

そうですね。ただ、年配の皆さん方もスマホはある程度お使いになっていますので、今までデジタルで送ったことがない方からも、こういった新しいものを送ってみようという声がたくさん出てきています。
このQUOカードPayは、もらった方が「すごくいいから自分も誰かに贈りたい」と感じていただけるようで、幅広い年代の方に同じような反応をいただいています。

――実際にQUOカードPayを使ってみましたが、オリジナル画像でつくれるというのがすごくいいなと思います。

そうですね。アイデア次第ですが、ひと手間かければそれが心を動かします。「自分のためにこんなことしてくれたんだ」と。
例えばインタビューに行かれるとき、事前に素敵な笑顔の写真を添えて贈ると、贈られた方は「あのときこんなことが確かにあった」と非常に良い印象が残りますよね。
ギフトというのは心を伝えるものだと思いますので、そこがうまく伝わるような工夫をしながら開発をしています。

今はまだ法人さまをメインターゲットとしていて、PCの注文に限っていますが、スマホ対応を望む声が多く、開発陣は嬉しい悲鳴をあげて頑張っています。
将来的にはスマホでも簡単に購入手続きができるように、また、今は支払方法も銀行振り込みだけなのでクレジットカードが使えるようにという点を進めています。

わずか1年でサービスローンチできた背景とは

――1年間という短い期間でサービスローンチできた理由は何でしょうか?

開発メンバーの総力の結集ですね。「QUOカードを、もっと可能性のあるものにしたい」、「新しいデジタルギフトの文化をつくっていきたい」というみんなの想いや共感が、1年間という短い期間でできたひとつの理由かと思っています。

もともとQUOカードというのは磁気PETのカードで、30年ぐらい前にテレフォンカードができたころの規格に基づいてつくられていて、技術者もそちらの専門ばかり。デジタルのサービスというところに関しては、すべてゼロから採用する必要がありました。
また、金融庁の監督下で動いている、スピードよりセキュリティ重視の会社です。そのため、今回QUOカードPayの開発にあたり、2017年の12月に新しく「デジタルイノベーションラボ」という組織をつくり、ベンチャーでCTO(最高技術責任者)をやっていた人間と一緒になって、ビジネスサイドとテクノロジーサイド、両方の採用を始めました。同時にさまざまな業界に協賛するなどのアピールを行い、ブランディングを進めていったのです。

各種媒体では「フィンテックを使いながら信頼あるブランドをさらにデジタル化する」というところを一生懸命訴え掛け、AndroidとかiOSなどのエンジニアを少しずつ増やしながら、6ヶ月ぐらいかかって開発を進めてきたというところです。
何百億を扱うサービスですので、サーバーサイドは大手のSIer(エスアイヤー)さんにお願いしていますが、アプリやウェブに関しては自社のエンジニアによって内製化することができました。

――特に苦労した点は何でしたか?

どこまでQUOカードの良さを皆さんに新しいプロダクトとして訴えていくか。マーケットでいうポジショニングをどこにするかは、いろいろ悩みました。
何をやって、何をやらないでおくのか。しかもそれを、いつ、どのタイミングで、どういう計画でやっていくのかを最初に組み立てるのは、苦労したところです。

今いろんなペイサービスがたくさんあって、自己決済をスマホの中で置き換えて買い物ができたり、家計簿がつけられたり、銀行みたいに融資ができるところもあります。
ただ、もともとのコンセプトが何だったのかを考えたとき、やはり我々は「ギフト」というところに軸足があるわけです。

自分のお金をスマホの中で使うというよりは、「誰かが誰かにお渡しするギフト」という中でのスマホ決済を軸にしようと考えました。結果的には皆さんとちょっと違ったポジショニングになりましたが、QUOカードの強みを生かして、そのスマホバージョンをつくっていこうということにしたのです。

QRコードを読み取り、操作がシンプル

――こちらが実際のQRコード(※)ですか?

はい。このQRコードを読み取っていただくと、送られたURLが出てきます。

――簡単ですね。これならメールのURLをクリックするのと同じ挙動です。

ブックマークするなどしてメールを保存しておくといいですね。それが面倒な場合はアプリをダウンロードしていただけば、なくすこともないし、人に使われることもありません。
もちろんアプリなしでそのまま使っていただいても構いませんし。
アプリのダウンロードも、今のところはメールアドレスだけという、非常にシンプルな会員登録フローとなっています。極力皆さまが使いやすいようにという設計思想でつくらせていただきました。

――操作などのシンプルさが特徴だと思うのですが、これに関して何か特別な理由があるのでしょうか?

QUOカードの利用者の年代は10代から、上は70代80代までいらっしゃいます。特に今のQUOカードだと株主優待での採用が伸びていて、売上の2割から3割は、400社以上で株主優待品としてのご利用があります。株主は60代や70代の方が多いのですが、今はスマホをお持ちの方が多いので、Payを株主優待で使えないかご検討いただいているところです。

もらったギフトを使うために、わざわざアプリをダウンロードしなければいけないとなると面倒ですよね。それに、アプリは次から次に新しいものが出てくるので、入れてもすぐ消してしまうこともあります。
ギフトとして贈られたものをきちんと使っていただくためには、やっぱりURLをクリックするだけで使えるのがベストだろうと。ここもかなり議論をしましたね。

――手間がかからないところがいいですね。

デジタルギフトはAmazonギフト券以外にもいくつかありますが、少々手間がかかるようで「どうやったらいいの?」という問い合わせが結構あったと聞きます。今回ニュースをご覧になった皆さまから「QUOカードPayをぜひ検討したい」ということで、今、営業が飛び回っている状況なんです。

※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

店舗側からの期待も高まるQUOカードPay

――店舗側の反応はいかがですか?

ローンチと同時に実施したQUOカードPay 1億円分が当たるキャンペーンも皆さんご存じで、そこは非常にご期待いただいています。ローソンさま、それからVドラッグさま以外の加盟店さんも、これから導入予定ということで掲載させていただきました。

まだお名前が載せられない企業さんもたくさんありますが、少なくとも年内にはそれなりの加盟店で利用できるようになるということ、そしてこれから2年3年とかけて、かなりの方に使っていただけるようになると確信しています。

――店舗側の手間のかからないようになっているんですよね?

コードの読み取りには、大きく2つの方式があります。提示するバーコードを、もともとあるPOSのバーコードリーダーで読み取る方式と、QRコードを表示して向こうのアプリで読む方式です。
今、大手チェーンさんではPOSを改修して、1つのバーコードリーダーで読むパターンが増えてきています。これにゲートウェイ事業者を経由すると、各社がスマホ決済で使えるようになる。我々もいろんなゲートウェイ事業者さまと既に繋がっていますし、今後さらに新しい繋がりが広がっていき、いろんなチェーン店さまで使えるようになるというのがこれからのPayの形になってきます。

――導入店舗側のハードルもだいぶ低くなりましたね。

はい。従来のQUOカードは、専用のカードリーダーを全レジにご購入いただいていましたが、QUOカードPayに関しては専用のリーダーが必要ないので非常に導入がしやすくなっています。

加盟店さまがいろんなスマホ決済を併せて導入する状況になっていますので、スマホ決済の普及によって国も推進しようとしているキャッシュレスがさらに広がれば、いい世の中になるのではと我々も期待しているところです。

今後の展開は?

――これから新たなサービスが追加される予定はありますか?

可能性はあります。我々としては皆さんが「もらって嬉しい」という気持ちをたくさん持っていただくようなサービスを開発していきたいと思っていますので。

企業さまからも「キャンペーンで使ってみたい」というお声を実はたくさん頂いているところなんです。これから数ヶ月ごとにキャンペーン企画が増えてくれば、皆さんがもらうシーンも増えてきます。
さらに「もっともらいたいな」というとき、例えばいろんな企業さまがやっているキャンペーン情報をそのアプリの中で見られるようにしたり、そんな仕組みをこれからどんどん増やしていきたいと考えています。

QUOカードは、実は30年間かけて0から700億に、少しずつですが落ちることなく上がってきたサービスなんです。QUOカードPayは何年後に幾らと決めているわけではありませんが、30年間かけてQUOカードがやってきたことをデジタルでは10分の1くらいの期間でやりたいですね。今QUOカードが年間約5000万枚配られていますので、3年なり5年ぐらいでQUOカードPayを全国の皆さんにお届けできればと考えています。

デジタルになっても親しみやすいキャラでいたい

――キャッシュレス化で非常に盛り上がっているタイミングでリリースとなりましたが、これは戦略的なものですか?

戦略的なものではありません。2017年の12月にご縁があって「ティーガイア」が親会社になったのですが、そのときたまたまティーガイア側でもそういったことを考えていたので、そこからすべてが始まりました。その中で最短でできるのはこのタイミングだったというのが正直なところです。
デジタル対応も何もない状態からでしたので、頑張って大体1年ぐらいでできるかなということでしたが、非常に盛り上がってきている時期にリリースすることができました。

それに、ちょっと毛色が違うので覚えていただきやすい。
たぶんスマホ決済の事業者さんは、皆さん同じような戦略だと思うので。お客さまも同じようなお話を聞いていらっしゃると思うのですが、我々はあくまでも「ギフト」がメイン。贈り手のみなさまが気持ちを伝えられるツールでありたいというところを、当面は徹底して磨いていこうかと考えています。
皆さんに使っていただくようになったときには、もしかしたら他のPay決済事業者さんが今やられてるような機能を追加できるかもしれませんが、そこはそのときの話で。まずはギフトとして自然な形で皆さまに使っていただきたいですね。

大上段に構えて「世の中を変えよう」とか「こんな革命を起こそう」というよりは、このQUOカードPayのキャラクター、コアラに象徴されるように、親しみやすい、デジタルになっても変わらないキャラでいきたいなという思いです。
自然と普及し、知らない間に皆さんが使っているというのがいいと思います。

――お年玉などで利用されるといいですよね。

だから加盟店も「使えると嬉しい所」なんですよ。東急ハンズさんとかも、QUOカードでは入っていないのですが今回QUOカードPayを入れてくださいます。
ドラッグストアでは、QUOカードはマツモトキヨシさんだけでしたが、今回新たにVドラッグさん、サンドラッグさん、ドラッグ・トップスさんが加盟店として加わり、今後トモズさんも導入予定です。

QUOカードのときは「使えないの?」というお客さんからの声はあっても、専用端末をご購入いただく必要があったために、なかなか決断できなかった皆さまが「このQUOカードPayだといけそうだ」ということで採用いただくところが増えてきているというのが現状です。
長い目で見ると、たぶんQUOカードPayの方が今のQUOカードの加盟店より増えていくのは間違いないと思います。

デジタルになっても「ギフト」というのがメインコア

――デジタルになるとコレクションできるんですね。

はい。せっかくつくってもらったオリジナルの画像です。皆さまがアイデアを練って、気持ちを込めて贈ったものをずっと保存できるというところは、大切にしたいなと思っています。
カードを使い切ったときに、たいてい「これどうしますか?」と聞かれますよね。あのとき、使い切ったカードを「じゃあ返してください」と言うのが恥ずかしくて、そのまま置いてくることがあると思うんです。
でもスマホの場合は、使い切ったらそのまま保存済みカードとしてとっておける。皆さんには「贈っていただいたときのシーンを思い出せる」、「使い切った後でもとっておけるのがすごくいい」というお声をいただいています。

アプリを使っていただくと、複数枚の残金をあわせて使うこともできるんです。QUOカードは落としたら対処できませんが、アプリの場合はダウンロードするときメールアドレスを登録していただきますから、新しいスマホでもう一度アプリを入れて、メールアドレスでログインすることで、再びご利用いただくことができるのです。

やはりデジタルになってもギフトはメインコアとして持ちたいので、どういったユーザーエクスペリエンスがあるのかを徹底して考えています。URL1つで使えるようにしたのもそうですが、受け取った人がストレスなく使えると、あげた人も嬉しいですからね。

――ギフトとしてユーザー目線に立っているのが伝わります。

事業者側の目線としては、データをたくさんいただければ、マーケティングの支援やビックデータを解析しての販売など、いろんなことができる可能性が広がるのでできればやりたいというのはあります。しかし、ギフトとしてご提供している以上、まずはユーザー目線に立って、使っていただけるようなものをつくっていくことだと思うんです。
そういう意味でもブラウザ版をご用意しました。

合算できて保存に便利なアプリもあり、メールアドレスだけでご登録いただけます。なくす心配もありません。今はまだアプリの機能は少ないですが、そこから簡単にキャンペーンに応募できるとか、そういったときはお客さまの情報をいただくかもしれません。
情報をいただく場合はキャンペーンに簡単に応募できて、QUOカードがもらえるというメリットがありますよね。そことのバランスを取っていきたいと考えています。

メールアドレスだけで使っていただいてもいいですし、「もっともっとメリットを享受したい」ということであれば、もう少しデータをいただく仕組みになっている。これがこれからの時代の新しいサービスの在り方だと考えており、そこをどうするかはユーザーに選択権があります。

――最後に、QUOカードPayをどんな方に使ってほしいですか?

企業さまでも個人さまでも、皆さまに使っていただきたいです。ちょっとしたお礼だけれども、気持ちを伝えたいとき。デジタルのギフトとして、我々のQUOカードPayを手軽に活用していただきたい。すごく人並みですけれども、これが我々の想いです。そういったことがどんどん広がるよう、我々としてもお話をさせていただければありがたいです。

――いろいろお話聞けて良かったです。ありがとうございました。

■簡単で便利なデジタルギフト「QUOカードPay」はこちらからチェックできます。

取材:江口七星

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