ここ30年、日本経済の成長は世界でも最低水準で推移してます。その現状を打破するのに必要なこと、それは「民」が中心の経済です。

日本の停滞の本質的な原因はどこにあるのか、またこれから我々が目指すべき方向とは。連載第1回目となる本記事では、それらを主なテーマにお話ししていきます。

藤巻 健史(Takeshi Fujimaki) 参議院議員

日本維新の会政調会長代行。元モルガン銀行(現JPモルガン・チェース)日本代表・東京支店長。元ジョージソロス氏アドバイザー。一橋大学卒、ケロッグ経営大学院修了MBA取得。米News week 誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出。 朝日新聞で「藤巻兄弟」を共に連載していた元伊勢丹バイヤーの故藤巻幸夫の実兄

藤巻 健史Twitter( @fujimaki_takesi)

最低水準の経済成長、トレンド転換に何が必要か

ここ30年間での日本経済の成長は、世界でも最低レベルです。これは仮想通貨税制以外で、私が最も問題意識化していることであります。

アメリカが3.9倍、イギリスが3.8倍、シンガポールが9.2倍、韓国が13.1倍、中国が57.7倍と上っている中で、日本は1.4倍にとどまっているのが現状です

このトレンドを変えない限りは、日本の将来はないでしょう。小手先の修正では変わらないこと、またなぜこの状態になってしまったのかを考えて、それを大胆に直していくというのは将来の日本にとって大切なことです。

しかし、政治家はポピュリズムで目先の問題しか解決しようとしません。それが直接票に通じるからです。

票になろうがなるまいが、日本が1970年代の栄光の経済を取り戻すためには、中長期的にどうしていくのかということを考えなくてはいけません。それが政治家としての最大の責務だと思っています。もちろん私が今参院選を必死に戦っているように、選挙に受からなければ政治家として何も為すことができないというのも事実ではあります。

外国人部下が言う「日本は世界最大の社会主義国家」

どうしてこんなにも日本の経済は停滞してしまったのでしょうか。

私はモルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)の東京支店長を務めたりもしていたのですが、当時の外国人部下が、日本から帰国する際に必ず言っていたことがあります。それは「日本は世界最大の社会主義国家」だという言葉です。

それについては私も同じような感覚を持っています。日本経済がダメになったと言うときに、よく日本の識者は資本主義は終わったなんて言いますが、私は決してそうではなくて、社会主義的な経営・運営が日本をダメにしたと思っています。

では、なぜその部下は日本を「社会主義国家」と例えたのでしょうか。その理由は、大きい政府、たくさんの規制があり、結果平等主義である日本の体制にあります。

そして私はそれが日本経済が低迷した本質的な原因だと思っています。何が問題であったのか、別の言い方をすると、「官主導の経済」であったということです。

「官主導の経済」では何も変わらない

官が経済を主導する場合、そのお金は増税という形で集められ、それを投資したり、ばらまいたりという形になります。

そこで増税できないなら、先に借金をして政府が出動します。政府主導の投資によるリターンが借金よりも大きければ、借金も減っていき、景気が良くなるだろうという発想です。

しかし結果は日本経済は30年間世界最大の低成長。官が一生懸命主導して、経済を良くしようとしてもダメでした。

そればかりか官がお金を必要とした結果、累積赤字は世界・最悪の状況になってしまったのです。

本来であれば、政府が投資して借金以上のモノを生み出せば、借金は減っていくし景気は良くなっていくはずなのに、少しも景気は良くならず借金だけがたまってしまった。これが日本の重大問題であり、小手先だけでやってしまうと4流5流国になってしまうわけです。

つまり何が重要かと言うと、官主導の経済はダメだということ。税金を集めたり、借金を増やして官主導の経済を成長させても問題の解決にはなりません。

「民」が主導する経済へ

官主導では停滞する経済は変えられない。では日本のこのトレンドを変える方法とは一体何になるのでしょうか。

それは、民の税金を減らして、民がその減った分投資をすることです。個人の投資を活発にしないと経済は大きくなりません。

助けを求めている人はたくさんいて、本当に助けが必要な人たちは助からなければならないし、経済原理で動かない公害などはきちんと対処しないといけないので、政府の干渉は必要です。でも経済を大きくするというのは、官よりも民のほうがいいに決まっています。

小さい政府で、民ができることは民に任せること。それがあるべき姿だと考えています。

仮想通貨減税で民間に活力を、日本経済復活のための改革|藤巻議員コラム(2)

経済の活性化には、税制の改革が不可欠です。なぜ私が国会での答弁を続けるのか、仮想通貨に対する国税当局の認識の遅れなどを次回記事ではお話しします。

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