ビットコイン(BTC)にはいくつかの先物市場があります。現在、多くの市場参加者はビットメックス(BitMEX)の先物を使用しており、同市場がマーケットに与える影響は大きいです。日本人でも馴染みのあるユーザーは多いでしょう。
ビットコインの先物取引とは
先物取引とは、将来のある時点においてあらかじめ決められた価格で資産の売買を行う取引です。指定した期日にその時の現物価格で清算される契約です。市場参加者は、この差金を考慮してヘッジや利益を期待します。
今後、バイナンス(Binance)やビットフィネックス(Bitfinex)などの取引所も先物取引の提供を開始するとアナウンスしています。これについては過去にこちらのコラムでも紹介しました。
さて、この先物はアービトラージ(裁定取引)にも利用できます。本コラムでは、その手法の一部を紹介します。なお本コラムは、一切の投資助言ではなく書き手はいかなる責任も負わないものとします。
先物取引を用いたアービトラージ手法で利益を得る方法
先物取引を用いての基本的なアービトラージ手法は、現物と先物の価格の差分の裁定です。
例えば8月31日決済の先物があるとしましょう。8月28日時点でこの先物の価格が、現物より1%高かったとします。このときに現物を保有し、ショートポジションを構築することで、ほとんどノーリスクで利益を得れます。以下に順序を示します。
- 国内取引所で法定通貨でBTCを購入する。
- 購入したBTCを先物取引所に送る。
- 先物取引所で、そのBTCを証拠金にして8月31日の先物商品をショートする。ショートのポジション量と証拠金のBTC量は同じにしておく。
- 先物の清算日を迎えます。
- 決済の差分をそのまま利益にして、精算後、証拠金にしていたBTCを速やかに売却する。
この時、もし現物の価格が急激に上がり、それに対して先物の価格が上がった場合でも、ショートポジションの損失と現物ポジションの利益は相殺されます。同等のビットコインを保有しているためリスクはありません。
ただしショートポジションを構築するための手数料は必要であり、その手数料分が損失になる可能性がありますが、極めて高い確率でアービトラージができます。この手法は、最も基本的な手法ですが、現物と先物の価格を比較して、先物価格のほうが高い場合において常に機能します。
これ以外にも先物を用いたアービトラージ手法はいくつか考えられます。
筆者が想定していないアイデアもあるでしょうし、他にもいくつかのパターンをこちらの記事で紹介しています。
先物やオプションがこれからいくつかできますが、それぞれの特性を活かせれば市場の歪みを発見し、高い期待値で利益が出せる場面はあるかもしれません。
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