バイナンスがデリバティブ商品提供へ向けて大きく前進
バイナンスが、デリバティブ取引所「JEX」を買収。自社プラットフォームとJEXをトレーダーに使ってもらい、仮想通貨投資家に最適な取引環境を提供する。投票参加者には報酬も支払われる。

バイナンスがデリバティブ企業を買収

世界最大手仮想通貨取引所バイナンスが、デリバティブ取引企業を買収し、先物取引市場に参入する。

バイナンスは、インド洋の島国セーシェル共和国を拠点にする仮想通貨取引所「JEX」を買収したことを発表した。JEXは買収後「バイナンスJEX」として、バイナンスユーザーに先物やオプション、無期限契約の取引を初めとするデリバティブ商品を提供する。

バイナンスは、独自プラットフォームの開発も手がけているが、よりユーザーが利用しやすい環境を整えることが目的に、今回デリバティブ取引所の買収に至った。これからユーザーに数週間、JEXのプラットフォームと両方を利用してもらい、どちらが優れているかを判断するという。

このテスト利用に参加したトレーダーには、どちらのプラットフォームが良いか投票をしてもらい、投票に参加したトレーダーは報酬として、バイナンスコイン(BNB)を最大1万BNB(2400万円相当)もらえるキャンペーンも行うという。

今回の買収でバイナンスは、JEXチームやJEX独自のトークンの管理も行うことになる。

バイナンスの担当者は、今回のテスト利用についてThe Blockに対し、「オープンに競争させることが、使いやすさを試すには最適な手段だと思う」と語った。また、「投票を通して、市場の反応やスケーラビリティ、また清算機能の観点から2つのプラットフォームをしっかり精査したい。投票結果を最終的な決断をするのに役立てたい」と説明している。

またバイナンスは、ビットコイン(BTC)/テザー(USDT)のペアでの永久先物取引商品を用意している

The Blockは今年2月に初めて、バイナンスがデリバティブ市場に参入すると報じた。その後5月にはさらなる詳細が明らかになり、ライバルの大手仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXに対抗して、永久先物の提供を検討していることを伝えている。

競争の激しいデリバティブ市場

バイナンスは、デリバティブ商品の提供を開始することによって、仮想通貨の最も競争の激しい市場に参入することになる。デリバティブ市場では、DeribitやBitMEXらが既にブランドを確立しており、ここ数ヶ月の間、取引高は上昇中だ。BitMEXの保険基金は2019年の初めと比較して50%増加し、3万1300BTC超にまで増えている。

またDeribitは、仮想通貨のオプション取引において95%のシェアを誇る。現物決済の先物取引を専門にするCoinFLEXは、1000万ドル(約11億)の資金を調達し、市場のシェアを拡大するために、値付け業務に対するインセンティブプログラムをローンチした。

米投資会社Altonomyの共同創設社Ricky Li氏は、「デリバティブ市場での激しい競争に際し、バイナンスは優位性を保つために、現物取引の人気に頼る必要があるかもしれない」と話す。

「現物や証拠金取引で既に多くのユーザーが存在していることを考えると、バイナンスは他のライバルに比べ容易に流動性を確保することができるかもしれない。これは取引所を始める時に最も難しい部分である」と説明した。

バイナンスの担当者は、BitMEXが抱える問題を暗示しながら、「バイナンスは、仮想通貨のデリバティブ市場を悩ます現在の問題の解決に取り組む。例えば、約定までの待ち時間の長さや取引負荷の重さ、またリスク管理の機能が弱いことだ」と語った。

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