一部のNFTトレーダーの価格を押し上げる目的で市場を操作する「仮想売買」が大きな問題となっているようです。ブロックチェーンデータ会社チェイナリシス(Chainalysis)のレポートを要約して紹介します。

一部のNFT(非代替性トークン)トレーダーが、価格を押し上げる目的で市場を操作する「仮想売買(wash trading)」が大きな問題になっています。ブロックチェーンデータ会社チェイナリシス(Chainalysis)のリポートによると、NFT市場は人為的に価格を吊り上げるため、自己売買する不正なトレーダーが群がっています。

不法な仮想売買で規制のないNFT市場を操作

チェイナリシスによると、仮想売買は1世紀近く株式市場などウォール街で広く知られている違法な手法です。適切に規制されていないNFT市場は、詐欺師にとっては絶好な機会となっているようです。

チェイナリシスの今回のリポートによると、ブロックチェーン上のデータを分析することで、自己資産アドレス同士で25回以上NFTを売買したトレーダーを特定したと報告しています。また、仮装売買を行う110人が合計約890万ドル(約10億円)の利益を出していると算出している。

また同リポートでは、2021年後期にNFT市場で重要なマネーロンダリングの証拠を発見したことを報告しています。同年第3四半期に特定された詐欺関連のアドレスから、NFTマーケットプレースに送金された総額は大幅に増加し100万ドルを超え、第4四半期には140万ドルを突破しています。

激増するNFT市場は法的規制の執行対象ではなく市場の正当性、必要性が疑問視される

リポートは、「仮想売買は証券や先物取引では禁止されているが、NFTに関わる仮装売買は法的執行措置の対象となっていない」と述べています。NFT市場規模は7億ドルから442億ドルの価値があると推定されています。

しかしNFTは、株式や債券と同じカテゴリーに属していないことから、同じ法律や規制の対象にはなっていません。ここ数カ月、偽のNFTやマネーロンダリングなど、多くの詐欺行為がNFT市場空間に多数出現している事実は無視できない状況にもなっています。

参考
Crime and NFTs: Chainalysis Detects Significant Wash Trading and Some Money Laundering In this Emerging Asset Class

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