ウォールストリートVSシリコンバレー、加熱する暗号通貨業界の人材獲得競争

アメリカの暗号通貨業界で人材の獲得競争が、ウォールストリートとシリコンバレーエリアの間で加熱しています。

東海岸に先行した西海岸の暗号通貨コミュニティと企業

そもそもシリコンバレーエリアでは、もともと2012年後半頃に最初のビットコインコミュニティができ上がりました。

仮想通貨メディア「ビットコインマガジン(BITCOIN MAGAZIN)」の記事によると、2013年1月のビットコインミートアップは、30人程度しか参加者がいなかったものの、下記のようなメンバーが一堂に会していたと書かれています。

  • ジェド・マケーレブ(Jed McCaleb:Mt.Gox, Ripple, Stellar Founder)
  • ジェシー・パウエル(Jesse Powell: Kraken CEO)
  • チャーリ・リー(Charlie Lee:Litecoin Creator)
  • ジャレッド・ケンナ(Jered Kenna: Tradehill CEO)
  • ライアン・アームストロング(Brian Armstrong:Coinbase co-founder)
  • フレッド・エーサム(Fred Erhsam :Coinbase co-founder)
  • オラフ・カールソン・ウィー(Olaf Carlson Wee:Polychain Founder)
  • ブライアン・ ヴー(Bryan Vu:Lightning Labs)
  • ライアン・シンガー(Ryan Singer:Chia co-Founder)

今振り返ると圧巻な顔触れですが、これらはみんな技術や思想を起点にして、ビットコイン・ブロックチェーン業界に入ったメンバーです。これがアメリカで最古のビットコインコミュニティです。

東海岸などの金融機関系出自の企業が、暗号通貨に本格的に参入をするのは2018年頃で、それよりはるかに早くシリコンバレーエリアの企業は産まれました。その後、シリコンバレーエリアの企業は、暗号通貨市場が拡大するにつれ、金融の知見を持った人員も必要となり、東海岸の企業から獲得してきた経緯を持ちます。

ウォールストリート企業による従来のブロックチェーン企業からの人材引き抜き

その後、現在にいたるまで目立っていることは、ウォールストリート企業による従来のブロックチェーン企業からの人材引き抜きです。

例えば、コインベース(Coinbase)の最高執行責任者(COO)で、機関投資家担当トップであったアダム・ホワイト(Adam White)氏がバックト(Bakkt)に移籍し、COOになったニュースなどは記憶に新しいです。

ICOのプライマリーを行うコインリスト(CoinList)のリードビジネスデベロッパーのロブ・サルマン(Rob Salman)氏も、同社を退職して、ウォールストリートの企業に転職をしたことが発表されています。

また、トゥルーEX(TrueEx)の最高戦略責任者(CSO)であったクリス・ヨシダ(Chris Yoshida)氏も同社を退職し、投資会社のカーライル・グループ(The Carlyle Group)のシニア・アドバイザーに転職をしています。

このような従来の暗号通貨・ブロックチェーン企業のエグゼクティブ人材が移動をしている事例は、他にも数多あります。ブロックチェーンと金融の両方を理解している人材はアメリカでも貴重で、シリコンバレーとウォールストリートで人材が頻繁に移動をしている状況です。

国内でも暗号通貨の知識に精通し、ビジネス理解もある人材は引く手あまたですが、アメリカでもその状況は顕著です。そして、こういった人材獲得競争がなぜ起きているかは、当然、各社仕込んでいるものがあるからであり、ベアマーケットの中でさまざまなものが準備されていると言えるでしょう。

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