コスモス(COSMOS)のHUBローンチから見るブロックチェーンと企業の関係性

テンダーミント(Tendermint Inc.)が900万ドル(約9億9,000万円)の資金調達

2019年3月14日に、スマートコントラクトプラットフォームであるコスモス(COSMOS)のHUBがローンチをしました。

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これに合わせて、テンダーミント(Tendermint Inc.)が初期ラウンドのシリーズAで900万ドル(約9億9,000万円)の資金調達を行ったことを発表しました。パラダイム(Paradigm)、ベイン・キャピタル(Bain Capital)、ワンコンファメーション(1confirmation)などの大御所のクリプトファンドがこの資金調達ラウンドに参加しています。

Tendermint Inc.は、ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムと同じ名称を用いた会社の名前です。COSMOSのコントリビューターであるジェ・クォン(Jae Kwon)氏が創業したTendermint Inc.は、テンダーミント・コア(Tendermint Core)とCosmos SDKのオープンソースの持続的な開発を目指すことと、営利企業として利益を創出して持続的な企業になることの2つを目指します。つまり、COSMOSプロジェクトと近しい位置に存在する営利企業という枠組みになります。

パブリックブロックチェーンと連動をする営利企業

このように特定のパブリックプロトコルと密接に関係する営利企業の形態を取る事例は、ブロックチェーン領域で多く見られるようになりました。

プロジェクトと関連企業の一例

プロジェクト 関連企業名
ビットコイン(BTC) ブロックストリーム(BlockStream)
イーサリアム(ETH) コンセンシス(ConsenSys)
イオス(EOS) ブロックワン(Block.one)
グリン(Grin) レイヤーワン(Layer1)
コスモス(COSMOS) テンダーミント(Tendermint Inc.)

それぞれのパブリックプロトコルの初期貢献者がスピンオフをして営利企業の形態になるような形式が主です。上述した企業の中で最も存在感がある企業は、ConsenSysでしょう。イーサリアム(ETH)のアプリケーションを使用するのに不可欠なウォレットであるメタマスク(Metamask)と、開発者フレームワークのトリュフ(Truffe)などのイーサリアム周辺のオープンソースツールは、ConsenSysが主導しています。

また、投資活動にも活発で、イーサリアム関連のプロジェクトに大きく投資をする他、エンタープライズ向けにプライベート版イーサリアムの導入を試みているなどの動きがあります。ConsenSysについての企業情報はこちらのレポートに詳しく記載されています。

他には、BlockStrsamもビットコイン・コア(Bitcoin Core)の開発者を多く雇用しており、ビットコイン(BTC)の周辺開発を通し、ビットコインに大きな貢献をしてきた企業です。

このような特定のパブリックブロックチェーンに近しい位置にいる企業のビジネスモデルに画一的なものはありません。しかし、ある程度期待されているであろうことは、そのプロトコルのトークンを保有しながら、周辺のオープンソース開発をして、トークンの値上がり益を享受するというようなモデルです。

ブロックチェーン領域にはオープンソースの開発が欠かせないですが、オープンソースの開発は持続性をもって行うことが容易ではないという現実があります。それに対する一つの解答は、各ブロックチェーンのコミッターが単純なコミッターではなく、関連企業を創業するという手法であると言えるでしょう。一方で、このようなモデルも、ConsenSysが最近に大きなリストラや事業縮小を行ったように、トークン価格にレバレッジを効かせて経営するような状態になりやすい傾向があります。持続的なオープンソース開発のモデル作りも難しいですが、このような企業の持続性もまだ不確かであるというのが現状です。

ただし、確かなこととして、このような企業は、批判もありつつも、パブリックブロックチェーンの周辺で重要な開発を多く行ってきた企業であり、このようなモデルは模索されるべきなのだろうということが筆者の意見です。

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参考
Medium


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