イーサリアム(Ethereum)の新しいモバイルウォレット「アージェント(Argent)」がリリースしました。
出典:Argent
Argentは、これまでのモバイルウォレットの不便を解消する、新世代のイーサリアムウォレットです。セキュリティ、ユーザーエクスペリエンスの点で、Argentは従来のウォレットと比較し、さまざまな機能があります。
従来、ユーザーが秘密鍵を管理する場合、さまざまなユーザーエクスペリエンスの毀損がありました。秘密鍵を管理することや、オンチェーントランザクションは手数料が必要なことなどです。Argentは、これらをさまざまなアプローチで解決しており、主に3つの機能を紹介します。
秘密鍵のリカバリー機能
Argentでは秘密鍵を保管する必要がありません。正確にはモバイルウォレットをインストールしているデバイスが秘密鍵を持っていて、対応するスマートコントラクトがユーザー資産を保持しています。このスマートコントラクトは、2of3のマルチシグであり、ユーザー・ユーザーが信頼する人または別のデバイス・Argent運営の3つで管理されています。
出典:Argent
ユーザーが秘密鍵を紛失、つまりスマートフォンを紛失したり、破損してしまった場合でも、他の2つが秘密鍵を署名すればトランザクションの発行ができます。これによって、ユーザーはシードフレーズを紙に記述して保管しておくことなどの必要がなくなります。
無料でトランザクションが可能
イーサリアムではトランザクションの際に、ガス(gas)と呼ばれる手数料としてETHが必要になります。なにかしらのDAppsをプレイするのにも必ずETHが必要で、これがユーザーエクスペリエンスを毀損する原因になっていました。Argentでは、このトランザクション手数料が無料になっています。
出典:Argent
メタトランザクション(MetaTransaction)という機能を使っていて、これは任意のサーバーにgasの支払いを肩代わりすることができる技術です。Argent内のトランザクションは、全てMetaTransactionで発行されます。このとき、実際にはイーサリアムのトランザクション手数料が発生しているのですが、現在はArgentが肩代わりしています。
つまり、Argentはその分の手数料を負担し続けていることになるので、そのコストを回収するなにかしらのビジネスモデルを考えているのだろうと思われます。
視認可能な送金先アドレスを設定
Argentは、イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)にも対応しています。ENSとは、長い文字列のウォレットアドレスではなく、例えばcoinchoice.netのように、任意の文字列のアドレスを作ることのできるサービスです。Argentでは、ENSを無料で取得できます。
本来ならば、ENSの取得にも手数料がかかるのですが、これもクライアントのArgentが肩代わりしています。同サービスでは、ベンモー(Venmo)のようなユーザー体験が出来るようにしていると自社サービスを説明しています。
Argentは、すでにios版はリリースされており、Android版もリリースされる予定です。興味を持った方は是非試してみると良いでしょう。
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参考
・Argent
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