イーサリアムの手数料も削減できるメタトランザクションの仕組みとは?

イーサリアム(ETH)のユーザーエクスペリエンスを大きく向上させると期待される技術として、メタトランザクション(Meta Transaction)が、これから1年程度で大きく進捗をすることが期待されます。

メタトランザクション(Meta Transaction)とは?

Meta Transactionは、 秘密鍵をサーバーに預けず、手数料であるガス(gas)の支払いだけを WEBサーバーに肩代わりさせる技術です。つまり、Meta Transactionを使うと、ETHを持っていなくても、イーサリアム上のアセットのトランザクションができます。流れとしてはこのようになっています。

  1. ユーザーはトランザクションを作成し、自身の秘密鍵を使って署名する
  2. 署名したデータはイーサリアムのネットワークには送信せず、WEBサーバーにhttpなどで送信する
  3. WEBサーバーはユーザーから送られたトランザクションをデータとして持つトランザクションを作り、WEBサーバーが保有する秘密鍵で署名する
  4. サーバー側から署名したトランザクションを発行する
  5. スマートコントラクトがトランザクションを確認し、WEBサーバーにトランザクションを送った元々のユーザーが署名したトランザクションを実行する。

このMeta Transactionという仕組みを広めるために以下のような動きがあります。

ERC-1776トークン

ユーザーがETHを持っていなくても、ERC20トークンやERC721トークンをトランザクションできる、Meta Transactionを標準的に実装されたERC規格であるERC-1776トークンが提案されています。このトークンでは、リレーヤー(サービス提供者)にgasの支払いを肩代わりしてもらうことができます。

Meta Transactionによるユーザーエクスペリエンスの向上の恩恵を最も得るのは、ETHを持っていない新規ブロックチェーンユーザーです。つまり、これまでブロックチェーンに触ったことないユーザーをターゲットにするブロックチェーンゲームなどが最初に連想されるユーザーケースです。このERC-1776規格を提案しているのもゲーム系のプロジェクトです。
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出典:The SANDBOX

グノーシス・セーフ(Gnosis Safe)

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出典:Gnosis Safe

グノーシス・セーフ(Gnosis Safe)は、イーサリアムのモバイルウォレットです。ウォレットの機能としてMeta Transactionを実装し、このウォレットから作るトランザクションでは、ETHでgasを支払うのではなく、トランザクションをするERC20で代わりに支払いができます。

実際には、イーサリアムのネットワーク上ではgas(ETH)が支払われていますが、これはGnosis Safeがgasを代理で支払っており、そのgasに対して、ERC20トークンを支払うという構造になります。

まとめ

これからMeta Transactionのような技術が浸透をするとユーザーはETHを意識せずにブロックチェーンのアプリケーションを利用できるようになります。さらに、Meta Transactionを使用したトランザクションで、チャネルを開き、ステートチャネル(State Channel)のようなセカンドレイヤー上のアプリケーションに移動を出来ると、ユーザーがブロックチェーンを意識することはさらになくなるでしょう。これから数ヶ月から1年程度で、このような動きが目立つのではないかと筆者は予測しています。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

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参考
GitHub
The SANDBOX
Gnosis Safe


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