- DEXで超高速アルゴ取引が横行か
- 米名門大学Cornellなどの最新論文 で、超高速アルゴ取引(HFT:ハイフリークエンシートレーディング)が、一部の分散型仮想通貨取引所(DEX)で横行している実態を明らかになった。
DEXで超高速アルゴ取引が横行か
米名門Cornell大学を含む複数の米大学は、共同研究を行い、「フラッシュ・ボーイス2.0」という超高速アルゴでの取引(HFT:ハイフリークエンシートレーディング)が、分散型仮想通貨取引所(DEX)で横行している実態を明らかにした。
ブルームバーグが報じた同研究論文によれば、特別なプログラミングが施されたこの取引ボットは、超高速処理で一般投資家の注文が約定直前に注文を出し、瞬時に反対決済を行うことで差益を得る、いわゆる「フロントランニング」だ。
HFTは、1,000分の1秒(ms)や100万分の1秒(μs)などの時間差で、一般投資家に悟られないほどの速さで強制的に注文を割り込ませる超高速マッチングとされる。
このような手法は、証券市場など伝統金融市場では明確に禁じられており、「フラッシュ・ボーイス」とはウォール街で一時盛んになったアルゴトレーダーを考察した金融ジャーナリストマイケル・ルイスが名付けたものである。
仮想通貨市場では、伝統金融市場と比較して国際的な規制面も現時点では不十分であり、このようなフロントランニングが横行している可能性があると指摘している。
DEXの事例
Cornell大が指摘するこの取引活動は、DEXで頻繁に行われているが、中央集権型取引型取引所でも同様のことが起きている可能性も低くない。
同大のAri Juels教授は、「中央集権型取引所での実態までは判明していないが、DEXの事例から推定すると、数十億ドル(数千億円)に相当する注可能性もある。」とその深刻さを強調した。
また報告書は、ボットプログラムに対し、「DEXの構造欠陥により、ブロックチェーンのセキュリティを脅かす可能性がある。」と批判している。
研究者は、2018年10月より6のDEX(Etherdelta・Bancor・0x v1・0x v2・Tokenstore・Kyber)をリアルタイムのトラッキングを行なった結果、500ものボットが超高速アルゴを稼働させており、1日20万ドル(2,000万円)の暴利を生み出していたという。
このような「フロントランニング」は、EtherdeltaやBancorで確認されている。