2018年、NTTドコモが携帯キャリア他社に先駆けてクレジットスコア=信用スコア事業への参入を発表しました。
日本でも今後クレジット産業の激化が予想される中、信用スコア事業へのNTTドコモの参入は大きなインパクトを与えました。
果たしてドコモスコアリングの特徴はどこにあるのか、仕組みや提供開始時期などを解説します。
信用スコアとは?
メリット、デメリット、日本の信用スコアについても解説
ドコモの信用スコア「ドコモスコアリング」とは
NTTドコモが発表した「ドコモスコアリング」は、自社の回線契約者の情報による個人の信用スコアを金融機関向けに提供するというものです。
最大手企業のNTTドコモですから契約者の膨大なデータを所有していることは理解できますが、なぜこのタイミングで信用スコアの提供をスタートさせるかが気になります。
それは、同じ時期に金融機関向けに「ドコモレンディングプラットフォーム」の提供が開始されることが重要なポイントとなります。
信用スコアの基となるのはドコモが持つ自社回線契約者の契約内容の他、回線利用時間や携帯電話料金の支払い履歴などのデータとなります。
現在所有率100%越えとなった携帯端末の顧客情報から属性データを抽出して活用するのは、まさにビッグデータの具体的な活用事例と言えるでしょう。
もちろん情報が提供されるのは、顧客が金融機関の融資サービスを申し込み、情報提供に同意した場合となります。
その他にもドコモスコアリングは用途が検討されていますが、マネーフォワードと共同で開発した融資サービスのスマートフォンアプリ「レンディングマネージャー」がすでに登場しています。
レンディングマネージャーは、借入と収支を可視化して借入額や返済に関するアドバイスをするアプリです。
このアプリを使用すれば適切な返済計画を立てられますし、お金を借りるさまざまな課題を解決することが期待できるしょう。
そして、レンディングマネージャーがあれば融資申し込みから借入、返済までワンストップで管理することが可能となり、顧客の家計が可視化されることになります。
電子マネーサービスであるドコモ口座と連携すれば、口座に入金された融資をセブン銀行ATMからいつでも出金可能となるため、利便性も抜群でしょう。
通信大手だけあって単なる信用スコア事業への参入ではなく、融資サービスを統括した取り組みがスタートすることになります。
そのサービスを支えるのがドコモスコアリングであり、個人の信用をドコモのビッグデータから算出する新しい試みと言えます。
ドコモレンディングプラットフォームとは
NTTドコモの回線契約者に向けて、各金融機関が融資サービスを提供するための動作環境がドコモレンディングプラットフォームです。
同社がすでにQRコード決済「d払い」やクレジットカード決済「dカード」、「dポイント」を活用したポイント投資などを展開していることはご存知でしょう。
保険に関しても、東京海上日動と連動して2019年上期にサービスを開始することを発表済みです。
ドコモレンディングプラットフォームは、そんな展開の中で最後の重点分野と言えるレンディングへの取り組みです。
通信大手からプラットフォームの提供を受け、各種金融機関がこの環境を活用し、ドコモ回線契約者に対してレンディングサービスを提供していくことになります。
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サービスはいつから開始?
レンディングプラットフォームを採用したサービスの第1弾は、新生銀行グループから2019年3月に開始されることが昨年公開されています。
サービス開始にあたり新生銀行の工藤英之代表取締役社長は、金融サービスがスマートフォンという身近なデバイスで提供されることに意義があると評しています。
提供されるのは個人向けのレンディングサービスで、数万円から数十万円程度の貸し出しが想定されているそうです。
もちろん審査にはドコモスコアリングを活用し、結果によっては優遇金利が受けられるなど個別条件の提案も可能な仕組みが用意される見込みです。
このようにトップバッターは新生銀行グループとなりましたが、今後どのような金融機関が参入して来るかはわかりません。
NTTドコモという最大手企業のビッグデータですから、金融サービス側としても信頼性や魅力が高いことは間違いないでしょう。
ドコモの信用スコアの仕組みは?
ここまで概要を解説して来ましたが、ユーザー側として気になるのは、ドコモの信用スコアがどのようなデータを利用してスコアリングを行うのかという点です。
報道資料によるとドコモの各種サービスの利用状況ということですが、添付されているダイアグラムの項目を挙げてみましょう。
- ドコモ回線の利用期間
- 契約内容
- コンテンツサービス利用状況
- 金融サービス利用状況
- 携帯料金支払い履歴
もちろんこのダイアグラムが実際にすべてではないでしょうが、ドコモ回線を長期間安定利用していて、携帯料金も遅延なく納められていれば、基本的には優良と評価されそうな予測はあります。
金融サービス利用状況に関しては、おそらく前述のd払いやdカード、dポイントの利用状況が該当するでしょう。
信用スコアで何ができる?
そもそも信用スコアとはどんなサービスかと言うと個人の信用力を客観的に判断するために、数値化する格付けサービスを指します。
基本的に信用スコアが高い人は信用力が高く、連携するサービスを利用できたり特典を受けられたりすることが可能となります。
信用スコアは運営する会社が個人の信用力を査定した上で保証するもので、全世界で採用されている評価方法です。
もちろんサービスによって基準は変わり、例えばキャッシングにおける信用力とエコノミー分野における信用力には違いが出るでしょう。
キャッシングなら借りたお金を返済する能力が一番で、エコノミー分野なら人柄や真面目さなどが一番の信用力となります。
これを踏まえてNTTドコモの信用スコアを考えると主に年齢や性別、ドコモの携帯電話サービスの使い方が判断基準になります。
当然、よく使い、よく支払い、長く使い続けている人が高い数値になると予測はできるでしょう。
ただし勘違いしてはいけないのは、信用を判断するのはNTTドコモではなく、融資をする外部の金融機関だということです。
NTTドコモはドコモスコアリングの提供をするだけで、それを受けて融資をするかどうか判断するのは金融機関です。
まずは新生銀行が参入を表明していますので、ドコモの信用スコアを見て新生銀行が優良だと判断すれば、新生銀行からお金を借りることができるでしょう。
融資の契約・申し込みはアプリで
ドコモスコアリングを活用して融資サービスを利用する場合は、スマートフォンアプリのレンディングマネージャーを使用することになります。
レンディングマネージャーは借入から返済まで全部の手続がスマートフォンでできるアプリで、日常的には家計と借入状況の管理や返済計画のアドバイスを得られる便利アプリです。
サービスがスタートして融資の契約をしたい場合は、まずアプリをダウンロードしてインストールし、アプリから申し込むことになります。
レンディングマネージャーはどんなアプリ?
提供開始時期は2019年3月予定でしたが、4月末時点で新たな情報は出ていないようです。
このアプリは、NTTドコモと株式会社マネーフォワードの共同開発です。
開発の目的は、収支借入状況の見える化、適切な借入金額の提案、個々に合わせた返済アドバイスの提供という3つです。
背景には、返済能力を上回る過剰な貸付を防ぐため、融資上限枠の設定など対策が行われてはいるものの、なかなか顧客の借入状況を把握できない難しさがあります。
NTTドコモとマネーフォワードは「お金の見える化」技術を活かし、お金を借りることに関する問題の新たなソリューションの提供を目指しました。
レンディングマネージャーにアドバイス機能が搭載されているのは、多重債務などの対策を進め、お金の課題を解決するためです。
金融関連サービスと連携を強化することで、個々の家計と借入を可視化し、適切な借入と最適な返済計画をアドバイスしてくれます。
まさに頼れるお金のマネージャーが、いつも身近にいてくれるようなイメージでしょう。
信用スコアは安全?信頼できる?
ユーザー側の心理としてもう一つ気になる点が、個人情報の流用ではないでしょうか。
NTTドコモに限らず通信するには回線契約は必要ですし、スマートフォンを使っていればおのずと毎日の使用状況はデータとして蓄積されていきます。
ただそれが外部の機関に提供されると聞くと自分の知らない間に提供されてしまうのではないかと心配になるのももっともです。
しかしNTTドコモが発表しているように、ドコモの信用スコアが外部へ提供されるのは、契約者の同意が取れた場合に限定されます。
そもそも契約者が自分でレンディングマネージャーをダウンロードしてインストールし、そのアプリを経由して借入の申し込みを行ったときにはじめて審査が行われることになります。
もちろん、信用力がスコアリングされること自体抵抗を感じる人も少なくありませんし、外部へ提供されるのも良しとしない人もいるでしょう。
そのような場合はドコモスコアリングの活用に同意しなければ問題ありません。
あくまでもドコモスコアリングは利用者の同意が大前提で、同意なくして勝手にスコアが作成されることはありません。
ドコモスコアリングで金融サービスが身近になる
ドコモスコアリングは、NTTドコモが新たにサービスを開始するドコモレンディングプラットフォームを支える重要な仕組みです。
通信最大手がスコアリング事業に参入したことで今後のスコアリング事業の激化が予測されていますが、金融サービスがこれまでにない程わかりやすく、身近な存在になることには大きな期待があります。
所有するビッグデータを活用し、NTTドコモが精度の高いクレジットスコアを算出する手腕に注目です。