バンク・オブ・アメリカのCEOがキャッシュレス決済の実現に前向き発言

米最大手銀行のJPモルガンに次いで第2位のバンク・オブ・アメリカ(Bank of America、通称バンカメ)のブライアン・モイニハン(Brian Moynihan)会長兼最高経営責任者(CEO)がこのほど、同銀が暗号資産(仮想通貨)とそのキャッシュレス決済の将来を認めて、「キャッシュレス社会の実現を望んでいる」と明言しました。

法定通貨による取引の半分以上が電子的に処理されている現実を認識

ヤフー・ファイナンスの報道によると、モイニハンCEOは、フォーチュン(Fortune)誌主催の識者会議「The Fortune Brainstorm Finance 2019」(2019年6月19日)会議で発言し、バンカメがキャッシュレス決済(取引)の時代の風潮に参加する意思を表明しました。同誌によると、モイニハン氏は「銀行業界はデジタルテクノロジー可能なモデルの採用に向けて進んでいる。それは伝統的な手法より安価で効率的だ」と語りました。

先進国とその銀行は今日、ブロックチェーンや「モノのインターネット(Internet of Things)」に代表されるテクノロジーのイノベーションによって、現金(法定通貨)に代わる決済手段が進んでいる現実を認識しています。そしてこれら諸国と銀行はまた、これら新しいテクノロジーが、最近まで想像することができなかった新たな可能性を持つ、革新的なビジネスソリューションを提供するかもしれないことに気付き始めています。

そのような動向についてモイニハン氏は、法定通貨による取引の半分以上がすでに電子的に処理されており、仮想通貨とオンライン決済システムのペイパル(PayPal)やデジタル決済システムのゼル(Zelle)、デジタルウォレットなどの電子的な決済プラットフォームの台頭に拍車がかかっていると指摘しています。

キャッシュレス社会に最も適したビットコイン(BTC)

究極のキャッシュレス社会の実現に当たって、決済手段は抵抗なく、民主的で、インフレに強く、一般大衆向けで許可を必要とせず、検閲にも強いことが求められます。ビットコイン(BTC)は、それらの特性をすべて備えています。

サンフランシスコ連邦準備銀行は2018年リポートで、「現金は引き続き最も頻繁に利用される決済手段であり、全取引の30%を占め、10ドル以下の支払いの55%を占めている」と報告しています。しかし米国社会では、仮想通貨やキャッシュレス決済、Google Pay、Apple Payなど電子ウォレットの組み合わせが進んでおり、ハードカレンシーのニーズを確実に侵食しつつあります。特に消費者は、より広くモバイルバンキングを採用するようになっており、デビットカードも規則的に使われています。

ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート

フランスのBNPパリバ(BNP Paribas)とキャップジェミニの研究によると、さまざまな形のキャッシュレス取引は、2021年には年間12.7%の成長率で進むだろうという調査結果を公表しています。

バンカメはビジネスのデジタル化を進めている

キャッシュレス社会の構築に傾いているのは米国銀行業界に限りません。例えばスウェーデンは、その実現に向けたリーダーであり、オーストラリアや韓国、中国なども黙っていません。シンガポールは、キャッシュレス社会の実現を目指し、すでにQRコード、PayNow、非接触型モバイル決済システムなどを利用しています。

モイニハン氏は、銀行業界はすでにデジタル化を受け入れ、進めているとして、「銀行業界のビジネスはデジタル化に進んでおり、今後もその方向で進むだろう。どのようにすれば付加価値が付くかの答えを見つけ出そうしているところだ」と表現しています。

ちなみに世界で現在、目に見えてキャッシュレスが進んでいる5カ国は、スウェーデン、シンガポール、韓国、オーストラリア、そして中国です。これに米国が加われば、キャッシュレス社会への移行は転機を迎えるかもしれません。

参考
Bank of America CEO: ‘We want a cashless society’
5 Most Cashless Countries in the World

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