コンセンシス(ConcenCys)社が組織変革をする意味、競争と淘汰が進み価値あるプロジェクトが輩出されるフェーズへ

イーサリアム(Ethereum)のインキュベーターであるコンセンシス(ConcenCys)社が、同社の約1,000名の全従業員へ書簡を送ったそうです。書簡の全文は、こちらのリンクから参照ができます。

コンセンシス(ConcenCys)従業員へ送られた書簡内容

内容としては、「今までの同社のビジネスモデルは持続性のあるものではないから切り替える必要があり、これからは第二創業期である」という内容です。これからはイーサリアム(Ethereum)への貢献のほかに、投資に見合ったリターンをしっかり得るようにして、持続性のあるビジネスモデルを創出していく旨が語られています。

コンセンシス(ConsenSys)社はイーサリアム共同創業者であるジョセフ・ルービン氏(Joseph Lubin)によって創業されたブロックチェーンプロダクションスタジオで、創業は2014年10月。本社拠点はニューヨークのブルックリンです。

ルービン氏はプロトコルレイヤーであるイーサリアムに共同創業者として関わっていましたが、「Ethereum(Ethereum Foundation)自体はプロトコルの開発に注力しており、アプリケーションレイヤーでDAppsを立ち上げたり、営利目的のプロジェクトや企業を立ち上げたりする計画はなかったため、自分はコンセンシスを立ち上げた」と語っています。

同社に関するレポートはこちらで配信しました。

参照:Ethereumのエコシステムに大きな影響を与える巨大企業・ConsenSysの研究レポート

バイナンス(Binance)、コインベース(coinbase)、ビットメイン(Bitmain)と並び、暗号通貨・ブロックチェーン業界で最も成功をしている企業の一つです。

創業者のルービン氏がどの程度のETH(イーサリアム)を保有しているかは不明ですが、総資産はForbes(フォーブス)などのメディアの推測によると、10億USD~50億USD(約1,132億円~5,659億円)と試算されており、相当な資産を築いています。

イーサリアム(Ethereum/ETH)

コンセンシス(ConcenCys)のビジネスモデル

さて、これまでのコンセンシスのビジネスモデルがなんだったかというと、一言で言えば「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」です。イーサリアム総合企業として色々な開発ツール作りながらも、最もメジャーなブラウザエクステンションウォレットであるMetamask(メタマスク)を作ったり、教育事業を行い開発者を増やすほか、スマートコントラクト監査事業があるなど様々なビジネスを行っています。

しかし、結局のところ一番稼いでるポイントは彼らの傘下企業・傘下プロジェクトのICOによる収入です。つまり、トークン発行益と言えます。

ここまではっきり書簡では語られていませんが、これからは同社の体質を変更するということでしょう。今後は同社で開発されるプロジェクトの評価基準は、下記の3項目で厳格に評価をされると言います。

  • 投資としての利益・IRR・ROI
  • Ethereumのエコシステムへの貢献度
  • Social Good

今後の体制を「ConSensys 2.0」として、自身の役割の明確化にも触れています。

  • 持続性のあるビジネスと透明性
  • Etheruemとweb3.0のためのファンダメンタルインフラストラクチャーを作る存在
  • 持続性があり価値があるビジネスへ投資、立ち上げをするベンチャースタジオ
  • ユーザードリブンでビジネスへ投資、立ち上げをする
  • ブロックチェーンをアダプションするための存在

さて、こういったプロトコルと共に成長をする企業モデルのパイオニアでもありながら、バブルをうまく利用し成長したともいえるコンセンシスが、自身のビジネスモデルを転換しなければいけないタイミングに差し掛かっています。

同社は、この書簡を送ったあと、同社の従業員の10%以上にあたる150人以上を解雇したと報道されています。

関連:スタートアップ企業ConsenSysが従業員の13%を解雇すると発表!その理由とは?

もちろん、今までのビジネスモデルに限界があったとしてもこのまま消えるような会社では当然なく、今後どのような動きを見せるか非常に興味深く注視すべきであるといえるでしょう。

こういった企業が、この段階で組織変革をすることはマーケットの下落がきっかけであり、企業競争の中では淘汰されるプロジェクトも多く今後現れると思いますが、それらも含めてより価値あるプロジェクトが輩出されるに必要なことであり、ブロックチェーン業界は前進していくでしょう。

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