仮想通貨市況
Bakktのビットコイン先物取引が9月23日にローンチするとの発表を受け一時高騰した仮想通貨市場。その理由と高騰要因をまとめた。

仮想通貨市況

17日の仮想通貨市場ではビットコインが続伸。Bakktが現物決済先物取引の提供に必要なライセンスの取得を発表、先物の提供日時を9月23日と具体化させたことで市場の期待感が高まった。

また、15日の急落要因として挙がった「PlusToken」による巨大出口詐欺(会員数1000万人)が顧客から集めた資金の大量売りの指摘に対し、ロンドンのトークンアナリストSid Shekhar氏が反論。指摘されたビットコインの移動先アドレスが取引所のものとは特定することはできないと明かし、「今後も仮に大口資金の取引所に入金などのケースには目を光らせる。」とのコメントをブルームバーグが掲載したことで、ビットコインの売り圧力懸念が後退した。

売り圧力になり得ると見られていた最大資金額は、201,712BTCと最大発行量の1%と巨額で、市場の上値を重くする要因になっていた。

PlusTokenの出口詐欺における大量売りを指摘したDovey Wan氏は、ブルームバーグ紙に掲載された反論を受け、資金の売却先として見られていたBittrexやHuobiに調査の依頼を改めて行なっている。

一方、16日の米国株式市場では、経済停滞の先行きを見据えた刺激策への期待感が高まったことで、S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均が値を戻すなど、米中貿易摩擦で悪化した市場のセンチメントが落ち着いたことも、BTC市場を後押しした。

金融市場との相関性

これまで、金融市場との相関指数からの指摘で、一時は安全資産との値動きに同調するビットコインに、世界経済の後退懸念における資金の逃避先としての見方が強まっていたが、8月中旬のBTC価格急落が米株の急落と重なったことで、ボラティリティの高いリスク資産の側面が再び強まったとの見方が広がった。米中貿易問題が一服したほか、ドイツ政府がリセッション(景気後退)入りしたタイミングで財政赤字覚悟の対策を行うとした報道で、緩和した経済の成長懸念で、米株などリスク資産の一定の需要回復にビットコインも同調した格好だ。

世界の債権市場では逆イールドが広がり、米国以外にも英国やカナダなどでも確認。リセッションのシグナルとしてリスクオフムードが加速している。ビットコインの金融市場との見方には議論の余地があると見られるが、経済と政治の変調が激しく経済の先行きが不透明な中で、どのような相関性が指摘されるか、Bakktの先物取引などを契機に新たな資金が入ってくる可能性がある今、重要な局面を迎えていると言えそうだ。

今後の注目ポイント:Bakkt 注目ポイントは?

BakktがCFTCの「自己認証」プロセスを通じて現物決済ビットコイン先物取引を9月23日に開始することを受け、気になるのはこれまでの先物取引との違いとBakktの事業展開だ。また、先物のローンチ日時近くに最終可否判断の日程を控える二つのETFにも注目したい。

まず、世界最大の証券取引所「NY証券取引所」の親会社ICEが運営を行うBakktが取り扱う先物取引は、Bakktで完結するものではないことを理解する必要がある。

現物決済の先物を提供と資金のデポジットを行う上で、関わってくる機関は主に3つあり、取引を行う「ICE EXCHAGE」と清算を行う「ICE CLEARING」、最後に現物の受け渡しを行う(Deliveries)「Digital Asset Warehouse」がある。この最後のWarehouseの部分がいわゆるBakktが担当する部分になる。

BakktがNYDFSにカストディアンの申請を行なっていたのは、この現渡しのプロセスを自社で完結させるためであったことを意味する。

要するに、Bakktが取引を行う訳ではなく、今回のビットコイン先物取引は、金や原油といった他の先物取引と同様にICE Futures U.S.で取り扱いが行われる。

出典:satogram(@satogram12)氏

また、現物のビットコインを取り扱うカストディアンの役割を担うことで、現渡し介する日間の現物決済先物取引で、実質的な現物取引のBTC取引が可能になるほか、機関投資家の入金プロセスにSMA口座への米ドル入金以外い、直接ビットコインをWarehouse Accountに送金することが可能になっている。

金融市場とのエコシステムでも、これまでの指数に連動した先物取引とは大きく異なる点だ。

また、CFTCとNYDFSからの認可を得たことで、取引から現物取り扱いまでの全プロセスにおいて規制下で管理することができる。ICEという世界的な機関が取り扱うことでの影響力も大きい。

なお、Bakktがカストディアンのライセンスを得たことで、第二フェーズ以降のロードマップにあがる、スタバなどと共同で行うビットコイン決済にも大きな前進となった。これは、ビットコインの保管機構を中間に挟むことで、シームレスな決済ネットワークができる可能性を示唆して下り、クリアリングハウスの役割と併せて、ビットコインの決済ネットワークを実用レベルまで落とし込む可能性もある。(P2P送金や非中央集権性の問題は除く)

より詳しいBakktの詳細については:Bakktの仕組みを解説

最後に、ETFへの影響も申請の問題点にあがる、信頼における価格形成の欠如や、先物取引への信頼性の面で、Bakktが一役買う可能性があり、ETFの可否判断日程に、期待感が多少高まったといえるだろう。

現在SECに申請中のETFは3つで、注目度が高いETFの最終可否判断が10月に控えている。

  
申請企業 上場予定取引所 申請登録
VanEck/SolidX Cboe BZX 2019年1月
Bitwise Asset Management NYSE ArcaNYSE Arca 2019年1月
Wilshire Phoenix 「the Trust」 NYSE Arca 2019年6月
おすすめの記事