VanEck社が機関投資家限定のビットコイン投資信託を提供に
米ETF専門ファンドのVanEck社は、機関投資家に限定した「ビットコイン信託投資」の提供を9月5日より開始すると発表した。著名業界弁護士は、これがビットコインETFではないと指摘、その理由を説明した。

VanEck社が機関投資家限定のビットコイン投資信託を提供に

米ETF専門ファンドのVanEck社とスポンサー企業SolidX社は、機関投資家に限定したプライベート「ビットコイン投資信託」の提供を9月5日より開始すると発表した。

VanEckの公式発表では、当商品「VanEck SolidX Bitcoin Trust 144A Shares」は、米国証券取引委員会(SEC)の「規則144A」に準じて、9月5日より適格機関投資家への取引を開始する。

商品の提供には、私募証券の販売が機関投資家に限定する場合など複数の条件下で許可される米SECの免除規定制度を利用する。

ビットコインETFではない

「VanEck SolidX Bitcoin Trust 144A Shares」の商品のローンチを受け行われた報道では、ビットコインETFとして取り上げられるものもあったが、昨年より申請が行われているビットコインETFとは異なるとした指摘が行われた。

業界に精通する著名業界弁護士Jake Chervinsky氏は、この商品はETFではなく、すでに存在しているグレースケール社のビットコイン投信「GBTC」に類似した投資信託であると指摘する。

GBTCは現在239,055.5BTCの資産を取り扱う業界大手の投資信託で、機関投資家などから法定通貨換算で23億ドル(約2440億円)に相当する資金が投じられている。

Chervinsky氏は、「(今回利用された)規則144Aは、ETFに適用する基準と規定にはほぼ関連していない。」と説明。

商品の違いとしては、ETFはSECの承認を踏まえた上で主要取引所に上場し、個人投資家と機関投資家も同時に参加できるメリットを持つ事に対して、プライベートの投資信託は適格機関投資家に限定するため、厳格に規制されている商品としての確立や、投資家保護などの恩恵がもたらされない、と続けた。

あくまでも、今回の商品の提供は、ビットコインETF申請に係る申請プロセスではなく、免除規定制度を利用することで、規制上のハードルを迂回したものであるとの指摘となる。

ETF許可の利点として、機関投資家がビットコインの取引を行う上での懸念を払拭することで、ビットコイン市場への呼び水になるとの期待もあるが、投資家保護も含め、ビットコイン市場における懸念を払拭し、米SECに正しく許可されることの意味があってこそ、その意味を成すと考えることができる。

VanEck社とSolidX社は、「ビットコインETF」の申請に関して、米SECへの申請を行なってきたが、当局の判断は延期する形で、実現には至っていない。

申請の可否判断延期には、ビットコインにおける市場操作の可能性など、懸念点が理由にあがっている。各社これらの懸念を払拭する説明や仕組みを構築した上で、申請(再申請含む)に臨んでいる。

承認可否の最終判断は、VanEck版が10月18日、Bitwise版が10月13日。(VanEck版と Bitwise版の ETF申請に関しては、3回目の延期判断となり、これ以上の延期はできない。)

Wilshire Phoenix社のETFは、9月29日まで(さらに150日の判断延期も可能)、と数社控えている状況だ。

参考資料:VanEck公式発表

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