バイナンス(Binance)が現物取引所では最大の出来高、ビットメックス(BitMEX)が先物取引所では最大の出来高とという位置づけが定着してからしばらく経ちます。BinanceもBitMEXも、洗練されたトレーディングシステムやユーザーに付加価値を与える工夫は多々行っており、今後も簡単にこの地位が揺らぐことはないでしょう。しかし、彼らを後追いする形でいくつかの有望な新興取引所が登場しているので、本コラムではそれらを紹介します。
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先物専門を目的としたコインフレックス(CoinFLEX)
出典:CoinFLEX
コインフレックス(CoinFLEX)は、2019年3月に開設した取引所です。CoinFLEXのは「Coin Futures and Lending Exchange」の略称で、同取引所は先物を専門に扱うことを目的にして設立されました。CoinFLEXで取り扱う先物は、現物裏付けの先物で、決済期日になると現物を受け取ることができます。
現在、暗号通貨業界で主流の先物取引、つまりBitMEXなどは現物裏付けがない先物を提供しています。先物の決済期日に現物との差額を決済するという、差金決済の仕組みが用いられています。
CoinFLEXは、ここに現物裏付けの先物を提供して市場でのポジション確立を目論みます。
レバレッジは最大20倍で取引ができます。CoinFLEXはコインフロアー(Coinfloor)というイギリスの取引所の子会社で、セーシェル共和国に登記され、同社サイトによると特にアジアのトレーダーをターゲットにしているといいます。同社は独自の取引所トークンも発行しており、それらを含めたさらに詳しい解説は下記で行っています。
参考:新しい先物取引所CoinFLEX、大御所ファンドも投資する先物取引所の特徴やトークンについて
第3世代の仮想通貨取引所ビットマックス(BitMax)
出典:BitMax
ビットマックス(BitMax)は、2018年7月にローンチしました。創業者はジョージ・カオ(George Cao)という中国人で、登記地はシンガポールです。BitMaxは、自社のことを「The Third-Gen Digital Asset Trading Platform (第3世代の取引所)」と表現しています。
最高経営責任者(CEO)であるカオ氏によると、第1世代はポロ二エックス(Poloniex)やフォビ(Huobi)、バイナンス(Binance)などのクリプト対クリプトの取引所、第2世代はトレードマイニングというモデルを提唱したエフコイン(FCoin)などであるとしています。
第3世代の取引所は、第1世代と第2世代の良い点を全て取り入れ、さらにリバースマイニングという手法を開発した自社BitMaxであると主張します。同取引所トークンのコアとなる仕組みとなっています。
トレードマイニングとは、トレードをすればするほど、そのユーザーに取引所のトークンが配分されるというモデルです。BitMaxは、トレードマイニングとリバースマイニングという2つの方法を両方とも取り入れています。 より詳しい解説は下記で行っています。
参考:新興取引所BitMaxの概要。2019年に最も価格を上げた取引所トークンの仕組みやインセンティブ設計
出来高600億円以上のFTX
出典:FTX
FTXは2019年4月にローンチをしたバミューダ諸島を拠点にするデリバティブ取引所です。FTXは、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)という投資会社のインキュベ−ションプログラムで創業されました。
Alameda Researchは、1億ドル(約107億円)の資金を運用しており、暗号通貨市場で1日あたり6億~15億ドル(約645~1,600億円)もの出来高を自動取引で行っています。日によっては、暗号通貨市場全体の出来高の1%近くをAlameda Researchが行うときもあるという業界の大型ヘッジファンドです。
Alameda Research、及び創業者らはBitMEXをはじめとした取引所で取引を行っていたそうですが、先物商品の充実性やトレード機能などさまざまな点に課題を感じたことが自社グループ内で取引所を創業する動機になってたといいます。
FTXの特徴的なプロダクトは、先物取引とOTC取引、レバレッジトークンの3つを用意しています。
参考:暗号通貨デリバティブ取引のプラットフォームFTXの概要・独自トークンFTTについての解説
いかがだったでしょうか。総じて先物をはじめとしたデリバティブ取引などを提供していることが増えていることも伺えます。それぞれのトレードスタイルにあわせて新しい取引所も取引の選択肢にすると良いでしょう。
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