DeFi(分散型金融)のセクターそのものに投資をする合理的な回答はETH?

Nasdaqが分散型金融(DeFi)のインデックスをリリース

米国の新興株を中心に扱う証券取引所であるナスダック(Nasdaq)が、分散型金融(DeFi)のインデックス「DeFix」をリリースしました。これは裏付資産があるわけではないですが、対象トークンの価格に連動する指標となっています。対象トークンは分散型金融に係るトークンになっています。

対象トークンは、オーガー(Augur)とグノーシス(Gnosis)、アモヴェオ(Amoveo)、ヌメライ(Numerai)、メイカー(Maker)、ゼロエックス(0x)の6つです。それぞれに組入割合は下記のようになります。

DeFixの割合
出典: defix.fund

しかしながら、このトークンの選定に疑問の声が相次いでいます。AugurとGnosis、Numeraiは予測市場、0xは分散型取引所のプロトコル、MakerDAOは分散型ステーブルコインです。そしてAmoveoですが、これについては分散型金融と関連する一切のプロダクトを公開していません。

Amoveoを選定するくらいであれば、他にも、シンセティクス(Synthetix)や、カイバーネットワーク(KyberNetwork)、メロン(Melon)、バンコール(Bancor)など他の選択肢もあったであろうことに批判が集まっています。

実際にDeFiで影響力の大きいプロジェクトは?

では実際に各DeFiの銘柄で影響力があるものはどのようになっているのでしょうか?ミソス・キャピタル(Mythos Capital)の創業者のライアン・ショーン・アダムス(Ryan Sean Adams)氏が、各DeFiのコントラクトアドレスと関連するユニークアドレスの数をもとにグラフを作っています。

このグラフによると、コンパウンド(Compound)が圧倒的です。ただしこのグラフは、コントラクトアドレスにコミュニケーションをしている量で作成されたものですので、Maker DAOはCDP発行者しか入っていません。流通しているDAIのホルダーなどを含められた分の影響力は考慮されていません。

また、以下はイーサリアムの分析プラットフォームであるアレシオ(Alethio)による分析をビジュアライズしたものです。

ETHへの投資が最も合理的なのか?

こうしたグラフの中でDeFiでどのように投資を行うかということはなかなか難しいでしょう。CompoundもUniswapも投資の対象になるトークンがないからです。他、dYdX、Nuo、InstaDAppsなどグラフの中で存在感を放つプロジェクトの多くはトークンが存在していません。

しかし、DeFiというエコシステムが成長をするならば、必ず成長するアセットがあります。それはイーサリアムのネイティブアセットであるETHです。

DeFiというエコシステムの成長にETHは不可欠であり、例えばMakerDAOではステーブルコインを発行する担保資産にETHが使用されており、Uniswapでは流動性プールの中間通貨にETHが使用されています。当然、DeFiの経済圏ではトランザクションにETHが必要とされます。これらは、MakerDAoやUniswapの需要が高まれば高まるほどETHが必要とされ、DeFiの需要に伴って確実に需要が見込めるアセットがETHであるといえます。

インデックス金融的にDeFiのセクターそのものに投資をしたいというのならば、ETHが最も適切な答えの一つでしょう。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
Nasdaq to List DeFi Index But It’s Weird, Tether Wants to Issue Yuan Stablecoin on Ethereum

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