FacebookのLibraはSNSのようには普及しない?Facebook役員が告げた見通し

フェイスブック(Facebook)の役員であり、同社のデジタル・ウォレット「カリブラ(Calibra)」開発部門で副社長を務めるケビン・ウェイル(Kevin Weil)氏は、同社が発行を予定する暗号資産(仮想通貨)Libraの今後についての見解を明らかにしました。

Libra普及には10年単位の時間がかかる?

アメリカのニュース専門チャンネルCNBCによると、11月4日にポルトガルのリスボンで開かれたウェブ・サミット(Web Summit technology conference)でウェイル氏は見解を述べたとのことでした。

そこでウェイル氏は聴衆にむけて、「リブラ(Libra)はソーシャル・ネットワークのように短期間では広がらないだろう。おそらく1年単位ではなく、10年単位の期間を要するはずだ。しかし、それだけの価値は充分にある」と告げました。

また、厳しい規制や調査に臆することなく、長期的な困難を乗り越えながらLibraプロジェクトを進めることに、非常に大きな価値があるとも述べています。

Libraを取り巻く現状

2020年後半に予定されているLibraのローンチを疑問視する声も上がっていますが、これはさまざまな角度から不安視する規制当局が、この計画に強い危機感を募らせているためです。

問題の1つとして、Libraがテロリストの資金源として使用される危険性が挙げられ、さらに国家の主権を脅かす恐れがあるという意見もあります。

こうした中で、Facebookの最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、10月24日に開かれた公聴会の席で、アメリカ立法府のさまざまなメンバーから、Libraプロジェクトに対する厳しい質問を受けました。

また、Libra協会の初会合の前には、規制当局の圧力によって、マスターカード(Mastercard)やビザ(Visa)を含むいくつかのメンバーが計画からの撤退を表明しています。

楽観的な構えを見せるFacebook

このような逆風の中にあっても、ウェイル氏はLibraの将来性については楽観的です。現在21の組織がLibra協会への参加を決めており、また、プロジェクト自体も18ヶ月に及ぶ準備を進めていることから、今後もメンバーの数が増加すると期待しているからでしょう。

ウェブ・サミットでウェイル氏は、公聴会でのザッカーバーグ氏の考えと同様に、Libraの主なユースケースは送金にあるとの見解を繰り返し述べました。Libraのようなシステムは、今までの伝統的な送金処理サービスと比較すると、海外への送金処理において、ずっと効率的に手数料を節約できるというのです。ただし、世界規模での送金に、なぜ全く新しい仮想通貨が必要なのかについては、明確な説明がありませんでした。

最後にウェイル氏は、フェイスブック作の仮想通貨を好まない意見も認めた上で、「もしLibraというエコシステムにアクセスすることで生まれる価値と、大幅なコストカットの可能性を経験したくないという人には、Facebookの製品は不要だろう」と締めくくりました。

参考
Facebook’s Crypto Effort Will Take Decades to Spread but Libra Will Be Worth It, Says Exec
Facebook exec says libra cryptocurrency won’t spread ‘like a social network’

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