FBI、仮想通貨を重要課題として対処
FBIが仮想通貨を重要課題の一つとして対処していく考えであることがわかった。米国の上院国土安全保障委員会で、FBI(連邦捜査局)のChristopher Wray長官が、安全保障上の脅威について証言し、その中で仮想通貨に関する質疑に応じた。
11月5日、上院で開催された国土安全保障政府問題委員会の聴聞会では、上院議員達が、テロ対策、選挙における外国の影響、サイバーセキュリティなどの質問を行い、仮想通貨についても取り上げた。回答したのは、FBI、国土安全保障省、国家テロ対策センターの高官らだ。
元大統領候補でもあるMitt Romney上院議員は、自分は銀行部門に所属していないことから、仮想通貨の仕組みについて理解しているわけでもないと述べつつ、仮想通貨に関して以下のように質疑した。
「お金が政府から隠されていて、その流れを追跡できない場合、私たち政府側は職務を遂行することが困難になると思われる。そのため、仮想通貨に取り組む上で、何らかの努力がなされるべきではないのかという点は如何だろうか」
この質問に対して、FBIのChristopher Wray長官は、すでに仮想通貨はFBIにとっての重要課題の一つであると回答、「金銭の流れを追跡しようとするツール」を用いて、捜査の側面から仮想通貨には対処する方法を進めていると発言。犯罪者が最新の技術や匿名化ツールを使う際の能率が上がっていることにも触れた。
なお、具体的な規制のあり方については、「FBIにとって、仮想通貨はすでに重要な問題で、これから更にどんどん大きな問題となることは簡単に予測できる。その問題への応答が何らかの規制を作ることなのかどうかということは、答えるのが難しい」と言及した。
FBIは仮想通貨に中立的
FBIは近年、仮想通貨に対する取組を進めており、仮想通貨詐欺に対処するスタッフが多く在籍し、SEC(証券取引委員会)とCFTC(先物取引委員会)とも密接に連携している。
2018年6月には、麻薬、ランサムウェア、誘拐やマネーロンダリングに関する130件もの仮想通貨関連捜査を進めていると明かし、闇サイトを介した麻薬売買や、米国の西南国境で多発している仮想通貨の「強奪スキーム」などで捜査を担当。
高度な匿名性が組まれた通貨は捜査を難航させ得るとしながらも、「分散型台帳で現金よりも追跡しやすい仮想通貨も存在する」と表現するなど、FBIは「仮想通貨について、中立的」であるという立場を表明していた。