市場のセンチメントへの影響
米フェイスブック社の新決済サービス「Facebook Pay」が、仮想通貨市場に影響を与える可能性について、仮想通貨取引プラットフォーム「SFOX」が月次レポート(2019年10月)で発表した。
SFOXは、10月の1カ月間は、仮想通貨市場には直接は関係ないプロジェクトに注目が集まったと伝えている。例として挙げたのは、中国のブロックチェーン推進の動きと、フェイスブック社主導の仮想通貨リブラだ。
最近では、9月以来リブラのテストネットで5万1000件の送金が行われているといった開発の進捗状況が報告されたが、各国政府や規制機関の懸念は解消されていない。また、運営組織であるリブラ協会への正式な参加を決済大手Visaやマスターカードら7社が見送っており、現在もローンチに向けて厳しい状況は続いている。
本レポートではまず、上記のようなリブラの状況がビットコイン(BTC)価格の下落と連動していると説明。以下のグラフは、ビットコイン、イーサリアム(ETH)、ゴールド(金)、米株価指数S&P500の日足のリターンとリブラに関する動きを表したものだ。
特に下落幅が大きいのが、フェイスブック社CEOマーク・ザッカーバーグ氏が、米議会の公聴会に参加した10月23日で、ビットコインのリターンは7.3%減少した。
本公聴会では、ユーザーのプライバシー保護やフェイクニュースに関してフェイスブック社が抱える様々な信用問題を背景に、議員からリブラプジェクトに同社がどのように関わるのかなど、厳しい質問が行われた。イーサリアムのリターンも同様の動きを示している。
このデータを根拠に、SFOXは「仮想通貨やブロックチェーンの普及拡大に向けて、市場は有名企業が主導するリブラに注目している」と説明。
リブラを主導するフェイスブック社がこのタイミングで始める決済サービスには、リブラに向けられた規制監視の目をそらす狙いがあるという主張も出ている。「Facebook Pay」の普及を含めた一連の報道がリブラのローンチに影響を与え、そこから間接的にビットコインを初めとする仮想通貨市場にも影響を及ぼす可能性があると言及している。
参考資料 : SFOX