2019年の仮想通貨市場は投資家、特に個人投資家にとって、多くのハードルとともに新たなチャンスをもたらすでしょう。ブロックチェーンと仮想通貨市場のデータ分析企業Brave New Coin(BNC)が、激動の18年が影を落とす19年の始まりに当たって5つの注意すべき問題を指摘しています。
2019年はスロースタートか?
ビットコイン価格が1年で80%下落するようなことは、株式・債券市場では投資家には想像できない現象であり、特に個人投資家は震え上がりました。投資家は新年を迎えて、仮想通貨により注意深くゆっくりと向き合うことになるでしょう。
しかし、機関投資家は価格下落をチャンスと見るかもしれません。19年1月末以降、ビットコインのデリバティブ取引市場であるバックト(Bakkt)の予想されるオープンが、その最初のチャンスになりそうです。しかし、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ・オプション取引所(CBOE)によるビットコイン先物取引は、Bitcoin.comによると、18年10月31日時点で、OKEx(USD)四半期先物で3667.74ドル、今週先物3787.69ドル、来週先物3769.59ドルと低迷しています。ちなみに19年1月4日時点の仮想通貨チャートによると、3772ドル前後でした。ですからBakkt取引開始後に、一時騒がれた「go to the moon」つまり月まで届くような勢いは望めないかもしれません。
規制なしICO消滅の可能性
暗号資産の価格が大幅下落したにもかかわらず、18年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)はトークン発行による資金調達が続きました。コインデスク(CoinDesk)のICOトラッカーによると、ICOの件数は2017年より増え、ICOによる資金調達額も増加しました。
新しい形のクラウンドファンディングであるクラウドセール(crowdsale)では、イオス(EOS)やテレグラム(Telegram)が成功して、EOSはイーサリアム(Ethereum)ネットワークで25億ドル(約270億円)、Telegramは17億ドル(約184億円)を調達しました。特にTelegramは、ICOが証券か否かをめぐって疑心暗鬼のリスクを回避するため、将来トークン取得略式契約(SAFT)という新手法によって資金を調達しました。
19年には何ら規制されていないICOは崩壊する可能性があります。
ビットコイン(BTC)ETFに期待
期待されていたビットコインETF(上場投資信託)の上場は18年内に実現しませんでした。米証券取引委員会(SEC)の認可決定は19年2月以降に持ち越されています。しかし、「クリプト・ママ(Crypto Mom)」と呼ばれて親しまれているSECのへスター・ピアース(Hester Peirce)コミッショナーは、ETFに賛成の立場を機会あるごとに公言しており、ナスダック(Nasdaq)もしくはニューヨーク証券取引所(NYSE)でビットコインETFを取引する認可は近いと予測されます。
仮想通貨のグローバル規制フレームワーク
はっきり言って、SECによる仮想通貨規制フレームワークの判断は大幅に遅れています。それに反比例して、G20はグローバルな規制フレームワークの作成に取り組んでいます。次のG20は19年6月28日と29日に大阪で開かれます。仮想通貨に対して合理的かつ前向きに対処している日本の立場と相まって、フレームワーク作成が進むのではないかと期待されています。
SECあるいはG20での規制の取り組みの行方は、19年中に大きな山場を迎えるのではないかと予想されます。
規制強化された仮想通貨関連の金融商品の出現
17、18年を通じて、新たに規制された仮想通貨による金融商品が次々と生まれました。グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が、いくつかのアルトコインによる主として機関投資家向けファンドを新設しました。
スイス銀行によるFX市場に特化した初の銀行スイスクォート(Swissquote)が、ボラティリティを抑え、安定したBitcoin Certificate(ビットコイン証書)を発行しました。XBTプロバイダーは、ストックホルムのナスダックにEthereum ETN(イーサリアム指標連動証券)を上場しました。
個人、機関投資家が利用しやすい新しい仮想通貨関連の金融商品は、19年も引き続き増加する見通しがあり、米国の取引所ではより多くの仮想通貨デリバティブが上場される可能性が高まっています。
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参考
・Brave New Coin