【海外編】2019年の仮想通貨業界を振り返る:ハッキングに悩まされるも環境整備の1年

(文:Maki@仮想通貨ママコイナー

2019年も仮想通貨に関する話題は途切れることなく、さまざまな変化がありました。特に海外の仮想通貨事情は非常に変化が大きく、日本の仮想通貨ユーザーを驚かせる話題もありました。

今回は今年起こった海外の仮想通貨に関する話題をまとめました。2019年、どのようなことがあったのかを振り返ってみましょう。

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【日本編】2019年の仮想通貨業界を振り返る:新規取引所オープンなど前向きな1年

仮想通貨について

世界編その1

ファンダはもちろん、ネガティブなニュースも多くあった2019年。まずは、相場に直結した大きなニュースから見てみましょう。

ライトコイン(LTC)の半減期

世界編その2

主要アルトコインのひとつとされるライトコイン(LTC)は、今年の8月に半減期を迎えました。4年に一度(ライトコインの場合は84万ブロックごと)に起こる半減期は、マイニングによるブロック報酬が半分になるタイミングのことを指しますが、大きなファンダとして知られています。

ライトコインも半減期の直前に急騰し、話題となりました。2020年はビットコインをはじめ、ビットコインキャッシュ、モナコインなどの半減期がやってくる予定です。

関連記事:ビットコイン(BTC)の半減期には何が起こる?価格への影響と理由を解説!

ビットコインETFの否認

世界編その3

ビットコインを投資対象とする上場投資信託「ビットコインETF」についてのニュースは数多くありました。

ビットコインETFは、さまざまな企業から認可申請が行われていましたが、どれもアメリカ証券取引委員会(SEC)に認可されることはありませんでした。承認に自信を持っていると報道されたビットワイズ(Bitwise)社のビットコインETFも、10月には正式に否決されるという結果になっています。

SECに申請されていたビットコインETFのうち、特にもっとも認可される可能性が高く、「本命」だと言われていたソリッドエックス(SolidX)社とヴァンエック(VanEck)社のビットコインETFも、懸念事項があるとして9月に申請を取り下げています

認可されれば、仮想通貨界の巨大ファンダと言われているビットコインETFですが、先行きは依然不透明なまま。SolidX社・VanEck社のビットコインETFについては再度申請が行われるものと思われますが、新たなビットコインETFの登場にも期待しながら、今後の動向に注目しましょう。

Libra(リブラ)の構想発表

世界編その4

フェイスブック(Facebook)の最高経営責任者(CEO)であるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、グローバルで国境のない仮想通貨「リブラ(Libra)」を発表しました。リブラのネットワークを支えるための「リブラ協会(Libra Associations)」にはウーバー(Uber)やビザ(VISA)、マスターカード(Mastercard)などの大手企業が参加すると発表され、世界中から注目の的に。

しかし、フェイスブックが起こした過去の個人情報漏えい問題や、仮想通貨の法整備が整っていないことなどを理由に、各国から賛否の声があがっています。

開発停止を余儀なくされている状況に、ザッカーバーグ氏はリブラプロジェクトがアメリカ規制当局に承認されない場合、リブラ協会を退く可能性があると示唆しており、今後が気になるところです。

ネム(NEM)待望のカタパルト

世界編その5

アルトコインのネム(NEM)は、カタパルト(Catapult)と呼ばれるバージョンアップを行うことが決まっています。

現在のNEMブロックチェーンではなく、まったく別の新しいブロックチェーンを使うため、現トークンのゼム(XEM)と新しいトークンが誕生する予定、つまり2チェーン制になることが発表されました。

メインネットのローンチは2020年2月から3月頃を予定しているとの発表もあり、2017年から続いていたカタパルトへの期待がようやく形になることに。新トークンの取り扱いについても、国内の取引所でどのような扱いになるのか注目されています。

イーサリアムのアップデート

世界編その6

2月、イーサリアムは大型アップデートとなる「コンスタンティノープル」を行いました。度重なる延期の末、ようやく行われたアップデートとなりました。続いて12月には、次なるアップデートの「イスタンブール」が行われています。

アップデートは滞りなく行われ、今後はイーサリアム2.0の実装を行うための第4段階アップデート「セレニティ」に向け、さらなる開発やアップデートが行われる予定です。イーサリアム2.0が実装されると、トランザクションの処理能力が格段に上がる技術である「シャーディング」の導入や、取引の合意方法であるコンセンサスアルゴリズムの変更など大きな変化があります。

2019年もハッキングは悩みの種

世界編その7

2019年は日本でビットポイントジャパンのハッキングがありましたが、海外でも多くの取引所がハッキングの被害に遭い、中にはそのまま破産してしまった取引所もありました。

クリプトピア(Cryptopia)

1月、海外取引所のクリプトピア(Cryptopia)にてハッキングが発生。サービス再開に向けて少しずつアナウンスが進められていましたが、ユーザーは資産を引き出すことが難しくなり、その後5月に破産申請が行われました。

バイナンス(Binance)

5月には大手取引所であるバイナンス(Binance)もついにハッキングされるという事件がありました。

APIと二段階認証コードの不正により、約40億円分のビットコインが出金されてしまいました。この被害への対処として、ブロックチェーンの巻き戻しを行う「ロールバック」などの措置はとられず、バイナンスの積み立て(SAFU基金)で賄われました。

ビットゥルー(Bitrue)

バイナンスに次いで、シンガポールの取引所でも6月にハッキングが起きています。日本円で約5億円の被害額となりましたが、他の取引所との連携や素早い全額補償を発表するなど、スピーディな対応が評価されました。

アップビット(Upbit)

直近では11月、韓国の大手取引所となるアップビット(Upbit)でもハッキング被害がありました。

アップビットで保管されているイーサリアム(ETH)のホットウォレットから、約50億円分のイーサが不正送金されるという事態に。この被害は自社で補填することも発表されました。

新しい取り組みについて

世界編その8

Binance DEXとBinance Chain

4月にスタートしたのが、バイナンスによるDEX(分散型取引所)です。

さらに、DEXとともにバイナンスが開発した独自ブロックチェーンとなるバイナンスチェーン(Binance Chain)も稼働しました。取引所トークンとして現在も利用されているバイナンスコイン(BNB)のほか、9月にはステーブルコインのヴィーナス(Venus)計画も発表されており、バイナンスのエコシステムは拡大し続けていることがわかります。

バイナンスで証拠金・先物取引がスタート

バイナンスでは新しい試みが次々と進められています。証拠金(マージン)取引が7月に、先物取引は9月に開始されました。先物取引については他プラットフォームの買収によるものと、バイナンスの自社開発プラットフォームのふたつが同時にリリースされ、ユーザーは取引の場が広がりました。

バイナンスUS&ジャージーもスタート

世界編その9

バイナンスはアメリカ国内での運営のため、「バイナンスUS(Binance US)」を開始。アメリカ向けのサービス提供を9月にストップしたバイナンスでしたが、同時にバイナンスUSをローンチ。次々に新たな通貨ペアが追加されており、追加希望の銘柄に関する意見をTwiiterで募るなど、ユーザー目線の取り組みが評価されています。

さらに、ヨーロッパでの「バイナンスジャージー(Binance Jersey)」も1月にオープンしており、ユーロとポンドを使用した取引が行われています。

バイナンスでは今後、180にものぼる法定通貨をバイナンスのプラットフォームに統合することを目標にしており、その中にはもちろん日本円も含まれていることから大きな期待が寄せられています。

Bakkt(バックト)がスタート

世界編その10

ビットコインの先物取引、さらにカストディ(保管)サービスの両方を行うバックト(Bakkt)。ビットコイン現物で決済が行われることや、万が一の際には100%の補償を行うことで投資家保護を目指すプロジェクトとして注目されました。

アメリカ商品先物取引委員会(CFTC)の承認が長引き、当初の予定から約9か月遅れてサービス開始に至りました。

環境が着実に良化した2019年

世界編その11

仮想通貨に関連した2019年における海外の話題をご紹介しました。カタパルトの発表やBakktのスタートなどで盛り上がったこともあれば、ハッキングやETF否認のようにがっかりしてしまう内容もありましたが、皆さんはどのようなことが印象に残っているでしょうか。

2020年の仮想通貨業界ですが、現在と同じようにマネーロンダリングやテロ資金供与といった大きな問題が未だ残っており、各国が規制についてどのように足並みをそろえるかが注視されています。

そしてビットコインをはじめ、複数の仮想通貨の半減期が2020年にやってくることもあり、大きな値動きがあるのではとの予想もあります。

また、G20やマネーロンダリング作業部会(FATF)のほか、経済協力開発機構(OECD)などの機関も仮想通貨に関する国際的な枠組みを作るべきと主張しており、大きな影響が出てくる可能性もあります。

今年はいわゆる「バブル」のような爆発的な相場はなかったものの、仮想通貨を取り巻く環境整備は少しずつ、確実に行われています。もうすぐやってくる2020年はもちろん、その先に仮想通貨がどのような形で利用されているのか、期待したいところです。

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