政府関係者にとって重要なデジタル通貨ガイドブック

中国で、仮想通貨案内書「デジタル通貨:指導者のための読本」が、短期間で二版発行された。需要が高いことは、中国政府関係者による仮想通貨・暗号資産に対する関心継続を示唆している。

この案内書は、200ページあり、デジタル通貨(中国では「仮想通貨」という言葉が避けられ「デジタル通貨」という言葉で呼ばれることが多い)の基礎知識から、国際的な金融環境への影響まで、23本の記事から構成されている。

中国の通販サイトでは、「政府関係者にとって重要な学習参考資料」として売られており、記事の執筆者には、中国人民銀行の副総裁、中国の証券委員会のゼネラルマネージャー、および北京大学のデジタルファイナンスリサーチセンター長など、重要な地位に付く専門家の名前が並んでいる。

本の表紙には、「デジタル通貨は歴史的に避けられない」とある。

このガイドブックは、昨年11月に初版が発行され、わずか三カ月後に二版の印刷となったことから、仮想通貨知識への需要の高さが伺える。

尚、この本では特に新しい見解が発表されているわけではなく、役人が仮想通貨の概要を把握するための便利な一冊となっているようだ。

 

錯綜する中国の暗号資産政策

中国では、ブロックチェーンを国策として推進しており、ビットコインマイニングなどのデータセンターを促進する動きもある。

しかしビットコイン(BTC)など仮想通貨取引は禁止している。

2018年初頭以来、中国人民銀行の代表者たちは、デジタル通貨を避けられないものと考えていたが、法定通貨に変わる分散型貨幣が普及することは社会を不安定にすると懸念してきた。

そこで、中国が中央銀行が管理するデジタル通貨の作成を構想するようになったのも自然といえる。

今月10日、中国メディアの報道によると、中国人民銀行は、デジタル人民元の基本設計が完了したことを発表した。今後は、安定性、セキュリティ、管理に関する準備を進めるという。

現時点では、ローンチ日程はまだ明らかになっていない。

最初は銀行で利用を開始し、その後に消費者や企業が銀行にウォレットを開設して、利用できるようにしていくという。テスト利用は、深センと蘇州で行われ、その際、中国工商銀行や中国銀行など、7社の国営銀行や通信業者と協働する見込みである。

 

一方で、昨年12月27日には、北京市の証券監督当局が「仮想通貨取引のリスク」を警告する声明を発表、取り締まりの強化を金融・公安部門に要求している。

ブロックチェーン推進政策に便乗して再燃した仮想通貨取引やICO融資、貸出などの投資・投機活動に対して、ヒアリングや行政調査、刑事立件などを推奨するものだ。

ただ、多くの関係者によると、政府と良い関係を持つ複数の大手取引所が業務を取り締まられないことは暗黙の了解で、ビットコインマイニングに関しても、国益になり得る合法的なビジネスとして営まれている。

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