EOSの開発会社がリリースする分散型SNSはどのように収益化するか?

イオス(EOS)のクライアントの開発会社であるブロックワン(Block.one)は、2020年2月14日にソーシャルメディア 「Voice」のベータ版ローンチを目指していると発表しました。

EOSの開発会社がリリースする分散型SNSとは

Block.oneは同アプリの開発に約1億5,000万ドル(約160億円)を費やしていると明らかにしており、EOSのエコシステム上最大のアプリケーションになる予定です。また、ドメイン名である「Voice.com」の取得で3,000万ドルを使用しています。

フェイスブックやインスタグラムなどの従来のSNSはユーザーの利用した傾向データからターゲティングをして広告収入を得ることをビジネスモデルとしています。Voiceでは、コンテンツ作成者に報酬を与える新しいトークン報酬モデルを採用し、Voiceトークンが実装される分散型のSNSであるとしています。「いいね」の数が多ければ多いほどトークンが新規生成のタイミングで付与される可能性が高まるようです。

また、ユーザ認証システムも開発しフェイクアカウントを防げるとしています。IDとコンテンツは暗号化されブロックチェーンに記録され、検閲が不可能であることも特徴であるといいます。

センタリング
出典:Voice

その他の特徴としてVoiceトークンを使用するユーザーほどタイムラインで上位に上がりやすくなるといいます。これがVoiceトークンの主要なユティリティにもなっています。

フェイスブックなどのサービスはタイムラインに出てくる投稿の順番もブラックボックスのアルゴリズムの中で決定し、納得がいかない理由でアカウントが削除されるTwitterユーザーも存在します。このような分散型SNSなどのコンセプトは最近になって注目を浴びており、TwitterのCEOもBlueskyという名称の分散型SNSのプロジェクトチームを組成することを発表しています。 Blueskyのゴールは、TwitterがBlueskyの標準クライアントになることであると公言されています。

2020年2月にローンチされるVoiceは、ブロックチェーン業界としては大規模な投資がされたプロダクトであり、どのようなSNSになるかは注目されます。

Voiceでどのように収益を得るか

Voiceの開発会社であるBlock.oneは先述したようにEOSのメインクライアントであるEOS.ioを開発する会社です。同社は日本円にして約4,000億円のICOを実施した企業でもあります。Voiceのリリースは、ブロックチェーン自体の開発だけではなく、同社がアプリケーション開発にまで手を伸ばした格好になります。Block.oneはVoiceでICOを行うことはしておらず、どのように同アプリケーションでマネタイズしていくか考えてみましょう。

まず、1つはEOSベースアプリケーションであるVoiceが広まって、ベースとなるブロックチェーンのネイティブトークンEOS需要が増え、トークン価格に上昇を狙うものです。Block.oneは企業として相当量のEOSトークンを保有しているため、トークン価格が上昇すれば、そのキャピタルゲインを享受できます。

2つ目としては、Voiceではトークンを発行し、初期のユーザーにインフレーション配分を多めの与えるとしており、Block.oneはそのアロケーション一部を得るという形式でしょう。

なおBlock.oneのCTOであるダン・ラリマー(Dan Larimer)氏が以前手掛けていた分散型SNSであるスティーミット(Steemit)もコンセプトは非常に似ており、投票(いいねのようなもの)を受けたユーザーはトークンがもらえ、トークンをロックアップするユーザーの投票力が上がるブログプラットフォームのようなSNSでした。今回リリースされる新しいSNSはどのように利用されるか注目が集まります。

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