HTCはブロックチェーンスマートフォンを開発していることは広く知られています。第一弾としてエクソダス1(Exodus1)をリリースして、その後ビットコインのフルノードが付帯するExodus 1sをリリースしました。
HTCのブロックチェーンスマートフォン
また最近HTCは、バイナンス(Binacne)にホワイトラベルを提供して、ブロックチェーンスマートフォンのBinanceバージョンも提供しています。
さらにこういったブロックチェーンスマートフォンではない同社のスマートフォンのモデルU12でさえも、クリプトキティーズ(CryptoKitties)がプレインストールされて出荷されているといいます。HTCでは、「Chief Decentralized Officer」という役職を設けてこれらのプロジェクトを推進いています。同社はどのようなビジョンを描いてこれらのプロジェクトを行っているのでしょうか。
スマートフォンとハードウェアウォレットが一体化している価値
「Chief Decentralized Officer」のフィル・チェン(Phil Chen)氏によると、まだ多くの人は同社のブロックチェーンスマートフォンの価値を認識していないといいます。同社のブロックチェーンスマートフォンはいずれも秘密鍵を保管できます。この秘密鍵の保管場所はAndroidのOSのシステム部分から隔離されており、同スマートフォンでインターネットに接続していても安全であるとされています。
チェン氏はこれをスマートフォンとハードウェアウォレットが一体化している状態であると説明しています。トレザー(Trezor)やレジャー(Ledger)などのハードウェアウォレットを使用せずとも同じようにセキュアに暗号通貨の保管、およびさらにその先にはブロックチェーン上のID管理などを自身のデバイスだけで行えます。
スマートフォンを無くすことがそのまま秘密鍵を無くすすことを意味し、資産を失うのではと心配する声は当然ありますが、この対策も設計されています。HTCのブロックチェーンスマートフォンに紐づく秘密鍵はソーシャルリカバリー機能があります。これは秘密分散によって秘密鍵を5等分にして、事前にいくつかは金庫に、いくつかは家族などにシェアをしておきます。そしてもしスマートフォンを紛失してしまったときは、5つのうちの3つを集めることができれば秘密鍵を復元できます。
AppleやSamsungとは異なるポジションを狙うHTC
チェン氏によると、HTCはサムスン(Samsung)やアップル(Apple)のように大きい会社ではないからこそ正しい選択ができる企業であるとコメントしています。同社はプライバシーにフォーカスしたスマートフォンを作ろうとしています。
調査会社によるとHTCのスマートフォンの世界シェアは1%未満です。
もちろん多くの人はグーグルやアマゾンの生活から抜け出せないですが、世界的にプライバシーを重視するムーブメントがあることは確かです。プロトンメール(ProtonMail)やブレイブ(Brave)、ダックダックゴー(DuckDuckGo)などプライバシーフォーカスのメールクライアント、ブラウザ、検索エンジンはニッチサービスながらもしっかりユーザーを獲得しています。
そしてこれらのうちの2つがHTCのブロックチェーンスマートフォンにはプレインストールされています。このようなプライバシーフォーカスのスマートフォンとして同社の製品は市場でポジションを築き上げるかもしれません。
参考
・Global Smartphone Market Declines for The First Time in CY 2018
・https://decrypt.co/14638/how-htcs-blockchain-phone-is-taking-on-the-tech-giants
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