- 多くの中央銀行がデジタル通貨の研究を進めている、国際決済銀行の調査で判明
- 70%以上の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)について研究を進めていることが、国際決済銀行(BIS)の調査明らかになった。各国の中央銀行はデジタル通貨の導入に向けて、実験を重ねつつ慎重な姿勢で導入を検討している。
各国の中央銀行、デジタル通貨の研究
スイスのバーゼルに拠点を置く国際決済銀行(BIS)の調査によると、70%以上の中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)について研究を進めている。
しかし、今後10年間で実際に発行する意図がある機関はまだ少数派である。
CBDCは特に発展途上国の中央銀行によって、ファイナンシャル・インクルージョンを促進させると熱い期待を持たれている。
また先進国、途上国の両方において支払い方法の安全と効率を向上させる事ができると期待されている。
各国のCBDCに対する姿勢
この調査は世界の63の中央銀行の内、41機関が途上国で22機関が先進国 – 90%以上の世界経済と80%以上の世界人口を代表 – を対象に行われ、極めて広範囲に渡る調査であることがわかる。
この調査の中で約25%の中央銀行が、いずれCBDCを発行できるようにする、30%はその予定はない、残りの約40%は未定であると回答した。
BISはレポートの中で、スウェーデンとウルグアイを最も活発にCBDCを既存の法定通貨の補完的通貨としての発行を検討している管轄区として取り上げている。
スウェーデンの取り組み
スウェーデン中央銀行のRiksbankは2017年初頭からe-Kronaと呼ばれるプロジェクトで、前払いかつ無利子で追跡可能通貨のパイロット版を始めており、次のステージへ進む段階である。
ウルグアイの取り組み
ウルグアイの中央銀行は、国内通貨供給量が減少する中で、2017年に分散型台帳基軸のe-Pesoプロジェクトを開始し、2018年4月に成功と結論づけた。
同機関は現在、さらなる実験と潜在的問題を検証している。
今回のアンケートの中で、参加した全ての中央銀行の63機関はプライベートの仮想通貨は国内では広まっていないと答えた。
おおよそ25%の国は、彼らの管轄内の金融機関かノンバンクが、プライベート・デジタルトークンを支払いサービスの一環として試用していると回答。
昨年11月、IMFのChristine Lagarde理事は各国の中央銀行に、公共政策のゴールであるファイナンシャル・インクルージョン、またセキュリティや消費者保護、支払いプライバシーの解決へ向けて、CBDCの可能性を探求するように呼びかけている。
各国の中央銀行はデジタル通貨の導入に向けて、実験を繰り返しつつ慎重な姿勢で望んでいく模様だ。
気になる日本の中央銀行「日本銀行」も過去に雨宮正佳副総裁が、中央銀行発行デジタル通貨に関する言及を行なっているため、その内容を取りあげる。
雨宮副総裁が同内容に関して発言をおこなったのは、2018年10月の日本金融学会の秋季大会の講演だ。
トークセッションの中で雨宮副総裁は、キャッシュレスなど金融経済の環境変化を踏まえ「マネーの将来」をトークテーマに講演を行い、暗号資産の基盤技術であるブロックチェーンや分散型台帳技術を、有望な技術であるとした上で、「これらの技術をソブリン通貨などの信用と結びつけることで、取引や決済の効率化を実現できる可能性もある」と指摘した。中央銀行発行のデジタル通貨の可能性も示唆した形だ。
しかし、世界各国の中銀による分散型台帳技術の調査や実験と、日銀も欧州中央銀行との間で行なっている分散型台帳技術に関する共同調査“Project Stella”を行なっている事を事例として挙げつつも、現段階では、日本銀行における一般の支払決済に広く使える様なデジタル通貨を発行する計画はないと言及している。
ブロックチェーンに関する研究自体は行なっているが、現状では一般利用目的ではない点を強調していた。
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