世界の約70%の中央銀行が法定デジタル通貨(CBDC)の導入に関する調査を行っていることが分かった。国際決済銀行(Bank for International Settlements:BIS)が1月8日発表したレポートにより明らかになった。
70%が法定デジタル通貨(CBDC)の発行に向けた取り組みを実施
これまで各国の中央銀行が発行する法定デジタル通貨による利益やリスクについて議論が行われてきた。この度、国際決済銀行が進捗や計画の進み具合について日本を含む世界の63の中央銀行に調査を実施。約70%が法定デジタル通貨の発行に関する何らかの取り組みを行っていることが分かった。
また法定デジタル通貨を発行できる、もしくは今後できるようにすると回答した銀行は25%以下に留まり、40%が分からないとの回答だった。
同レポートによると、スウェーデンなど5つの銀行が法定デジタル通貨のパイロット試験を開始している。2018年4月に終了したウルグアイで行われた「eペソ」の実験は、現在実験の評価段階にあり、今後さらなる実験を行うかなどを検討するという。
短中期でのデジタル通貨(CBDC)発行の可能性も
多くの中央銀行は法定デジタル通貨関するリサーチを行っており、他の中央銀行と連携した実験や概念実証を行う段階に進歩しているという。また、同レポートには、「限られた中央銀行のみがCBDCの試験段階まで進んでおり、そのなかのごく一部が短中期でのCBDC発行の可能性がある」と記載されている。
そして現段階における問題として、「ほとんどの中央銀行はCBDCの発行に関する課題を明確にしているようだが、利益がコストを上回ることに確信が持てずにいる」と指摘。
レポートの結論部分では、「(CBDCに関して)中央銀行は慎重に前進しており、協業や研究結果を共有している。この慎重な姿勢や協業は、予期せぬ結果が起こる可能性を減少するだろう」と分析。また未来の決済ニーズを満たすためには、現金がその最適な回答となることはないだろうとし、「多くの人はCBDCを実際に使用するまで待たなければならないが、各中央銀行は待つ価値があるものとして尽力している」とCBDCの進展を評価していた。
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