ビットコイン、3日後に最大規模の難易度マイナス調整

ビットコインネットワークは、3日後に過去最大規模の難易度調整を控える。現在のマイナーの収益性の悪化を解消することに繋がる見込みだ。

BTC.comのデータによると、次回の難易度調整で−11.35%を予定。2016年以降2番目に大きい調整が予定される。

長期的に上昇基調を維持してきたビットコインハッシュレートは、大幅な難易度のマイナス調整を経験したことは数少ない。10%ものマイナス調整となると、前回がチャート上の黄色の丸に相当する2018年末。その前は2014年まで遡る。

それだけ、ビットコインマイナーが大幅に赤字に転落するタイミングが少なかったことを意味する。一方で、コロナ危機に伴う価格の急落の影響を物語っていると言えるだろう。

2018年では、価格下落に伴い、ビットコインバブルに合わせて増加した中小マイナーの撤退が影響し、ハッシュレートも急落。撤退するマイナーの投げ売りが上値を重くした要因との見方も強まった。

今回も、コロナ危機に伴う世界同時株安に同調したビットコイン価格が急落したことで、採算が取れなくなったマイナーが稼働を停止した。

今回の問題点

状況を整理するために、今回の問題点を以下に羅列した。

  • 前回の難易度調整と価格の急落が最悪のタイミング
  • ブロック生成速度が長期にわたり遅延
  • 市場価格の急落から大幅な値戻しなく、半減期を控える可能性

前回の難易度調整と価格の急落が最悪のタイミング

まず、留意しておきたい難易度調整予想がマイナスに振れたことが意味するポイントは主に2点。

一つが、その期間でマイナーの収益性が悪化していること。もう一つが、それに伴いブロック生成速度が遅延していること。

ビットコインのマイニング時に行われる計算は、約10分間に1回行われるが、この割合で正解が導き出せるように難易度調整という調整ポイントが設けられており、ビットコインが新たに発行されるペースを保たれる。

逆に言えば、その期間(難易度調整間)内は、ビットコインを採掘するマイナーの収益性が悪化する可能性があり、今回のような市場の急落が起こると、マイナーが一時的に撤退する事例に繋がるケースに発展する。

マイナーが撤退すると、ハッシュレートが低下することに繋がるが、難易度調整を迎えるまでは、前回のハッシュレートから算出した難易度に設定されるため、ブロックの生成自体が遅延する状況にも落ちいる。

今回のケースでは、この難易度調整のタイミングと相場急落のタイミングがかみ合わず、難易度調整後、数日で相場が急落したため、問題が長期化する要因となった。

具体的には、前回の難易度調整の時期は、2020年03月10日(火) の早朝5時。その2日後にビットコインの暴落が確認された。

ブロック生成速度が大幅遅延

一方で、難易度の調整が行われることは、ネットワークの状況(現在では収益化が悪化→マイナー一部撤退)をリフレッシュすることに繋がるため、今回大幅な難易度調整が行われることは、市場にも待たれるイベントであると言えるだろう。

しかし、問題は、高い難易度の中で、ハッシュレートが大幅に下落したことを受け、ブロック生成速度の遅延。状況は深刻だ。

ブロック生成速度の問題を調査した海外ユーザーの内容によると、平均生成速度は一時13を超え、約60%増の状況に陥っている。

ブロック生成速度の遅延は、2016ブロックごとに調整タイミングを迎えるビットコインネットワークの次回の難易度調整時期の遅延にも繋がるため、より問題の長期化に繋がっている。

また、実行ブロックが規定されているビットコインの半減期も、今回のブロック生成遅延に伴い、実行日が後ろに押されている状況にある。

急落後から大幅反発なく、半減期を控える可能性

最後に、今回の『相場急落に伴い、マイナーの収益性が悪化』した事例。迫る半減期時の予想モデルになる可能性としても注目したい。

ビットコインの半減期は、上述したブロック生成速度の遅延で延期している状況にあるが、約2ヶ月後に控えている。

半減期では、報酬が半減することでマイナーの収益性が大幅に変化するイベントとなる。今回の相場急落と異なり、マイナーも織り込むことができる状況ではあるものの、半減期に向けた高騰どころか、市場が安値域にある中で、雲行きが怪しくなっている状況であると言っても過言ではない。

仮想通貨取引所gate.ioが公開した半減期とマイナーの動向、重要価格帯を調査した最新レポートによると、この現物価格の高騰は必須事項になっている。

マイニングマシンごとの最低利益水準を算出した「shutdown Price」によると、現在の報酬状況で算出したマイナーの撤退ラインで、最も高い収益性を維持するマシンで、Ebang communicationsのEbitMiner E11++の4752ドル(524,722円)。3月リリースのマシンCanaanのAvalonMiner1166では4963ドル(550,724円)と、現在の価格水準とほぼ同水準に。

一方、半減期後の「shutdown Price」では、これらのマシンで1BTC=1万ドルを超え、今後導入予定の最も高性能なマシンAntminerS19 Pro(Bitmain)でさえ、7234ドル(798,347円)と現在の価格水準より大幅な高値を維持する必要がある。

出典:Gate.io

今回の「shutdown Price」の算出での留意点は、電力コストが、0.5RMBで算出されている点と、デフィカルティが2週間ごとに3%増加することを前提として算出されたこと。

マイナーが確保できる中国での電力コストは、0.26RMB〜0.38RMB(約4.3円〜6.26円)あたりで推移している(f2pool談)ことを考えると、高いコストで算出されている可能性は考慮すべきポイントとなるが、最も収益性の高いマシンでさえ、厳しい状況であることを踏まえると、よりコストを抑えることができ、規模の経済を確保できる大手マイナーに軍配が上がる可能性は十分にあると言えるだろう。

今回のハッシュレート下落が、半減期後の一つの予想ケースになるか。半減期も控える中で難易度調整後の推移にも注目したいところだ。

出典:Gate.io

「ビットコイン半減期」が一転 仮想通貨市場の懸念材料になる可能性
コロナショックから波及したビットコイン価格の急落で仮想通貨マイナーの収益が大幅悪化。5月の半減期でさらなる収益悪化も懸念される。撤退業者が増加すれば負のスパイラルに陥る可能性も。
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