世界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は3月26日、仮想通貨で支払いできる世界向けの独自のVISAデビットカード「バイナンスカード(Binance Card)を正式に発行すると発表しました。バイナンスがデビットカード分野に進出する動機を探ってみました。
バイナンスカードはBinanceアカウントと連動したVISAデビッドカード
バイナンスは発表に当たって、バイナンスカードの使途は、手持ちの仮想通貨を使ってより簡単に商品やサービスを購入してもらって、「仮想通貨の採用をさらに一歩進める」ことだと述べています。同社はユーザーの関心はすでに大きいと判断しており、それがカード発行の動機になったと見られます。
Binance.comのアカウントと連動したこのバイナンスカードは、仮想通貨による商品やサービスの購入を瞬時に決済できる利便性を提供します。その機能は通常のプリペイドカードとほぼ同じで、銀行口座ではなくBinance.comのモバイルアプリによるアカウントと連結していることが特徴です。当面ウオレットにあるビットコイン(BTC)あるいはバイナンスコイン(BNB)などを使って買い物ができるようになります。
200地域4,600万のマーチャントで決済可能
同社によれば、バイナンスカードはまず4月に、マレーシアで利用できるようになります。次いでベトナムで発行され、その後ほかのすべての国で利用できるようになる計画です。また、バイナスカードのウェブサイトに事前登録することで、登録した地域で利用可能になった際に通知が来るよう設定できます。
バイナンスカードの発行料金は15ドルです。カードの利用開始と管理を希望するユーザーは、バイナンスカードのアプリをダウンロードしなくてはなりません。アプリ導入によって、ユーザーは「数回のタップ処理で、ファンドとカードセキュリティ、支出などを管理する」ことができます。
発表によれば、バイナンスカードはVISAから発行され、200地域の4,600万余りのマーチャントによって決済可能です。ショッピングはかつてないほど容易になります。
仮想通貨による決済は有用性と採用を進める最大の挑戦
バイナンスのジァオ・チャンポン(Changpeng Zhao)最高経営責任者(CEO)は26日のTwitterで、次のようにコメントしています。
「支払い(決済)は仮想通貨にとって明らかなユースケースではあるが、採用はゆっくりしたペースになる。仮想通貨を保有している人はわずかに全人口の0.1%であり、マーチャントはそれを余り受け入れる気はない。例えいくつかのマーチャントが受け入れたとしても、支払いに仮想通貨を利用するユーザーは少ない。これは鶏が先か卵が先かの問題だ。今後、バイナンスカードを利用することによって、マーチャントが引き続き法定通貨を受け取ることになり、ユーザーは好みの仮想通貨で支払いを済ますことで、問題はすべて解決だ」
Payments is an obvious use case for #crypto, yet adoption is slow. With only 0.1% of people having crypto, merchants have no incentive to accept it. And with few merchants accepting it, less users use it for payments. A chicken and egg problem. 1/2
— CZ Binance (@cz_binance) March 26, 2020
「仮想通貨による決済は、その有用性と採用を進める最大の挑戦の1つである。バイナンスの全チームは、これらの問題を解決し、人々が毎日利用できる有意義なアプリケーションを生み出すことに献身している。バイナンスカードは、さらに幅広い仮想通貨の利用と世界的な採用を勧めるための重要な一歩である」
参考
・Introducing the Binance Card: Shop and Pay With Crypto Anywhere in the World
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